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占いって何なの?魔術って何なの?

 「魔術って黒魔術とかいうので生贄を使ったり呪いをかけたりするんでしょ」
「占いってバーナム効果なんじゃないの?詐欺なのでは?」
「中二病w」
等々……、そっちの世界のことをみじんも知らない一般的な人々からは、こういった印象や感想が返ってきます。まあ仕方ないですね。
魔術はその昔、古い時代では確かに生贄や生き物の一部を使った儀式魔術をしていたこともありましたが、現代の魔術師たちはまずそのようなことは行いません。
ゲームやアニメ漫画のデフォルメ・誇張された表現や、面白おかしく取り上げたメディアからの邪悪な影響が強く根付いているのでしょう。

 そもそも「呪い」という言葉は「まじない」とも「のろい」とも読みます。
考えてみてください。おまじないとは何でしょう?手のひらに人の字を書いて飲み込む緊張解消のおまじないとかがありますね。
大勢の観客を前にして舞台の上で緊張してしまうようなら観客をカボチャだと思え、などもありますね。
おまじないは「どうせ嘘だ、そんなもの効かない」と捉えていたら効力を発揮しないものなのです。
幼い子供のおまじないがよく効いたりするのはなぜなのでしょう?それは「きっと叶うと信じているから」です。
卒業式の時に好きな男の子の第2ボタンをもらうというのは、ハートに近い場所にあるからという感染呪術。
端午の節句に五月人形を飾る習慣は、その人形のように勇ましく元気で立派な子に育つようにという類感呪術。
このように、普通に生活をしている中にも魔術(まじない)はあふれているのです。

 もう少し詳しく掘り下げましょう。
魔術というのは自分自身や他人の精神・気持ちを、意図的にコントロールしてしまうものを指します。
呪(のろ)いというのは精神構造にあるものを焼き付けてそう思い込ませてしまうものを言います。
この勉強が終わったら、この仕事が終わったら自分にご褒美をあげよう……それまでがんばるぞ!と自分を奮い立たせる、それも魔術でしょう。
気分を変えるために好きな音楽を聞いたり、リラックスするためにお香を焚いたりするのも魔術。
いじめっこや親族からひどい言葉を浴びせられ、自分はダメな人間なんだと自信が無い卑屈な性格になってしまった……というのも呪いでしょう。
近年ではマルトリートメントという単語に関する記事も増えてきました。主に言葉の暴力のことです。
祝福は呪いでもあると、そんな言葉をどこかで聞きました。"幸せにおなりなさい"……一見あたたかい言葉ですが、これも呪いですね。
過去と他人は変えられない、しかし自分自身を変えることは出来る。そして、"(自分が見て体験している)この世界を作り変える"。
このふたつは関係していると私は考えております。
魔術と呪いの構造を知っていて、なおかつそれを行使できたなら。自分を中身から「変身」させることも不可能ではないのです。ここまでくると「魔法」ですね。

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 さて、次は占いについてお話していきましょう。
先に魔術(呪い)についてお話したのは、そういった前提が必要だったからです。
というのも、「あなたには○○なことが起こるでしょう」という文句。これ、占い師的にはタブーな発言なのですが立派な呪術ですよね。
恐怖や不安を煽ってくる占い師や魔術師は詐欺師だと考えてよいでしょう。そうしてこちら側を陥れ、思うがままに操ってしまう(魔術)からです。
「お前なんかに価値とか無いんだよ死んじまえ!」と言われたとしても「何と言われようが生きるもんね!」と堂々としていれば、まあ呪いにはかかりません。
内容によりますが、強メンタルの持ち主とかでなければそのように立ち振る舞うことはしんどいし難しいことでしょう……。

 我々占い師は「もう一歩踏み出す勇気が無いから背中を押してもらいたい」とか「ここからどうしたらいいかわからない、詰んだ」といったクライアント(相談者)さんたちに、道標という名のちょっとした"おまじない"を施す立場の人間であると思っています。
私自身恋愛や不倫などのソレ系の相談を持ち掛けられるのは苦手なのですが(真摯に対応は致します。)、凡そ「アドバイスができる聞き役」なのですよね。
なぜ占い師に依頼をする人がいるのかと言うと、見えない部分を明らかにしてそこから導き出されたヒントをアドバイスとして自分の意識を変えたいからだと思うのです。
じゃあ金払ってまで占い師に頼む必要無くね?と思うでしょう。占い師のやっていることは専門的な技術と知識を用いてカウンセリングしているのと変わりません。専門職です。
特に占星術などの命術になると、腕の立つプロの方は本当に「私のことを生まれた時から見ていたのか」と思ってしまうほど言い当てますし、そのうえ見えない知らない部分までお見通しだったりもします。

 占いに限ったことではないのですが、こちらの話(アドバイス)を聞かない人は聞きませんし、そのような人は自分で意思決定できる人種なので占い師に頼る必要がありません。
飽く迄占い師という存在が必要とされるのは「人生を生きていくためのヒントが欲しい」というときなのです。
バーナム効果(思い込み)、ホット・リーディング(事前情報収集)はきちんとしたプロの占い師であるほど必要としないものなので、占い師選びのときに参考にするとよいでしょう。
そのようなものに頼らずとも"当ててくる"のでね……。

 と ゆーわけで。
幽霊の正体見たり枯れ尾花。知識を得、理解把握できればおそれる必要などないものなのです。

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