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2019年頃の日記

こんばんは。
私は高校生の頃からずーっと日記を書いております。

毎日ってわけでもなく、書きたいときに、書きたいことを。
一度書きはじめると、ノート数ページにわたって書き続け、日付をまたいで次の日になってもまだ前日の日記を書いている、なんてこともあるくらいに、日記を書くのが好きで没頭しています。

ですが2017年に右手の怪我をして以来、握力がなくなり、思うように日記を書くことができなくなってしまいました。

それでも、やはり書きたいことは次々に起こります。

以下に紹介するのは、そんな状況の私が書いた日記の抜粋となります。
一人称は「僕」。名乗りは「夢見屋 鮫太郎」。
前世探究をはじめる頃のエピソードをかいつまんで紹介します。

なお、特定回避と他者のプライバシー保護のため、一部フィクションも織り交ぜて再編しております。



2019年5月13日 「一体僕が何をした」

右腕が、ヒジョーに痛い。
2年前の傷が癒えないどころか、最近では怪我と関係のない部分さえ痛む。しかも焼けるような痛みだ。

さかのぼること2年前の2017年5月13日に、僕は右手親指を機械に巻き込まれてしまい、あわや切断の大怪我を負った。

しかし様々な人たちの尽力のおかげで切断はまぬがれ、現在はこうしてペンを持てる程度までに右手の機能は回復している。

……のだが、悲しいことに、筋力と握力は怪我の前よりも格段に衰えている。
一日に使用できる握力の量が決まってしまっているようで、例えばペンを持って物書きをできるのは1日60分が限度だ。

それを超えると右腕全体に焼けるような痛みが走り、やがてペンも箸も持てない程に握力が低下する。

その痛みと握力が回復するまでに、酷い時は3日の休養を要することもある。
いわゆる怪我の後遺症というやつだ。

この日記も、数行書いては手を休め、また数行書いては手を休めを繰り返しており、ここまで書くのに既に1時間が経過している。

この後遺症に悩まされて、今日でちょうど2年になる。

怪我をしたのは右手の親指であったのだが、痛むのは肩から二の腕、ひじ、手首と、とにかく右腕全体に及んでいる。
特に二の腕の痛みは酷く、そういえば生まれつきの母斑のあるあたりが痛みの根源のような気もする。
でも、怪我をするまでこのアザが痛むなどということはなかったし、不思議だ。

痛みを治すため、これまでいくつかの医院を訪ねてみたが、どの病院でも右腕自体には炎症などの異常はないらしい。
せいぜい痛み止めの薬を処方するのみで、あとはブロック注射をする以外の根本的な治療方法はないと言われた。
また、指も欠損しているわけではないので障害認定も下りないとのこと。

ぐぬぬ。

こんな握力では仕事もままならぬし、茶碗や箸すら持てない日もあるというのに。

しかも痛みは四六時中やってくる。天気の悪い日などは、一日中痛みにのたうち回ることもある。

僕のこの苦しみは、何かの報いなのだろうか。

僕はこれまで、自分で言うのもアレだが、真面目に品行方正に、一生懸命生きてきたつもりだ。このような報いを受ける理由が見当たらない。

痛みの苦しみもさることながら、仕事のできない苦しみ、そして周りに理解されない苦しみが辛い。(指もくっついているし傷跡も目立たないので、はたから見れば怪我は完治していると思われるのだ)

いっそのこと、僕の前世が極悪人で、なにかとんでもないことでもやらかしたりした報いなのだと思った方がまだ納得できる。

そうだ。前世のせいにしよう。



2019年5月14日 「のたうちまわる」

痛い。右腕が。焼ける。もげる。
昨夜日記を書きすぎたせいだ。のたうちまわるほかない。無念。



2019年9月27日 「美人の整体師さん」


右腕の治療のため、数か月前から整体に通っている。
担当になった整体師さんは美人なお姉さんだ。
いろいろと世間話をしながら腕や足腰をほぐしてもらうと、その時だけでもいくぶんか楽になるものだ。

何回も通いつめているおかげで、お姉さんともなかなかに打ち解けて話せるようになった。決して下心はない。

さて、今日はその世間話の中に「前世占い」というワードが出てきた。

お姉さんの友達の知り合いに霊能者がいて、たまにサロンのようなものを開いて前世占いをしてくれるという。

しかし残念なことに、それは女性限定のサロンのようだ。

「女装してお化粧すれば、僕も参加できるかしら?」

と言ってみたところ、お姉さんは

「来ても良いですが、ちゃんと通報しておきますね。」

とあきれたような微笑みをくれた。

奇しくも今年の5月(怪我の2周年の頃)に、僕は自分の怪我の苦しみを「前世のせいにする云々」などと思っていたところである。

まさかお姉さんから前世というワードを聞くとは思わなかった。
よし、次もお姉さんを指名して、前世占いについてもっと話を聞こう。

決して下心のためではない。



2019年10月4日 「前世占いとマンドレイク」


今日も整体に行ってきた。
いつもの整体師のお姉さんと、前世占いの話題で盛り上がる。
占いによると、お姉さんの前世は中世ヨーロッパの人だったらしく、薬草などで人々を癒す仕事をしていたようだ。

「修道院の薬草園みたいな景色が見える」と、占い師さんは言っていたそうだ。
きっとお姉さんは、前世でも多くの人を癒す聖女のような人だったのだろう。

「お姉さんが中世ヨーロッパの修道女だったのなら、僕の前世はその時に摘まれた薬草だったのかもしれないですね。薬となって人を癒した徳により、今世は人間として生まれてきたとか。」

「むしろ鮫太郎さんはマンドレイクで、わたしの死因だったのではないでしょうか。」

足裏の指圧を受けながらそんな微笑ましいやりとりをしていたが、その裏では僕も前世占いを受けてみたいなと思っ

「あのときは、よくも!」

お姉さんの恨みのこもった一撃が、足つぼの痛いところに炸裂した。

僕の叫びがマンドレイクのように響きわたる。

※マンドレイク……空想上の植物。根が人間の形をしており、引っこ抜くと叫び声をあげる。その声を聞いた人間は死ぬ。



2019年11月19日 「突き止めてやろう、前世とやらを」


今朝は7時に起き、ゴミの日なのでゴミを出し、食パン一枚を焼いてチーズをのせて食べ、8時の福島行きの電車に乗る。
福島駅からは高速バスに乗り、仙台へ向かう。

いよいよ占い屋さんに行くのだ。ワクワクがとまらない。

先月、整体から帰ってきてすぐに、ネットで「前世占い」をやっているお店を検索した。
そして見つけたのが、仙台駅前の某占い館だ。

その店には何名かの占い師さんが在籍しており、顔写真やプロフィールを見て、一番優しそうな占い師さんを選び、予約を入れたのだ。
その方はとても人気があるらしく、予約は一か月待ちだった。

今日はその占い師さんに視てもらうために仙台へ行ってきたのだ。

担当してもらったのはRin先生という人。
30代後半ほどの、ほっそりとしていて、気品と優しさが滲み出るような女性の占い師さんだ。
タロットや水晶などを使い、前世鑑定や数秘術などが得意とのこと。
本格的な占いなんて初めてなので、見るもの全てにワクワクする。

Rin先生は、まず僕の名前と生年月日をもとに、数秘術でおおまかな運勢を占ってくれた。

どうやら「9」と「11」というのが僕の魂の数字らしい。
11っていうのは直感力があり、天啓を得やすかったりするらしく、特に夢などで霊界からのメッセージを受け取ることがあるそうだ。

そういわれると、思い当たることがある。

何年か前に祖父母の家が空き家になり、でもまだ水道や電気が通っていた時期があった。

そんな冬のある日、僕はその祖父母の家の夢を見た。

家の前には道路があるのだが、それが大きな川になって祖父母の家に迫ってくるという夢だった。
いまにも水浸しになりそうだ、というところで目が覚めた。

それから二週間後、母が祖父母の家の様子を見に行く機会があった。
すると、なんということでしょう!

寒さでトイレの水道管が破裂し、水が屋内にあふれていたというのだ。
床はほとんど水浸しの状態だ。

業者さんに見てもらったところ、少なくとも二週間は水が出続けていたとのこと。
つまり、夢を見たちょうどその日あたりに水道管が破裂した可能性が高いということになる。

夢だからと思って、あなどっていた。

Rin先生が言うには、僕の人生には今後もそういった夢のお告げが多くなるでしょうとのことだった。

話を戻す。

数秘術のあとは、いよいよ前世について伺ってみた。

そもそも前世というのは、たくさん存在する過去世の中の、現代に生まれ変わる直近の過去世のことをいうらしい。
僕にもたくさんの過去世があり、例えば医者だった過去世もあるし、バイキングのような過去世もあるとのこと。

面白かったのは、整体師のお姉さんとは薬草学の先生と生徒という関係で生まれ合わせていたことがあるそうだ。

僕が先生で、お姉さんが生徒だ。家庭教師みたいな感じだろうか。
そして先生だった僕は、生徒に間違った知識を教えて(毒草を薬草だと教えて)クビになったのだとか。

「あのときは、よくも!」

というお姉さんの言葉は、あながち間違いではなかったということか!
お姉さんの死因ではないにしろ、毒草を与えてしまったという点もマンドレイクと通じるものがある……。おそろしやおそろしや。

さて一方で、今の僕に一番影響を与えている過去世があって、それがどうやら前世らしいとRin先生は言う。

それについて詳しく!と尋ねたのだが、どうにも先生の歯切れが悪い。

というか、Rin先生は微笑みながら、断片的なヒントだけをくれるのだ。

それによると、

「時代は中世……かな?」
「場所はヨーロッパ……の、オーストリア?らへん?」
「戦争があって……、あなたはそれを率いるリーダー、みたいな」
「戦争は好きじゃなかったみたい。止むをえず参加した感じかしら?」
「宗教色の強い……宗教戦争?っぽいですね」
「あと、赤いステンドグラスのある教会を探して、そこに行けば全て分かるって、前世の魂がそう言ってますね」

ということだった。

たぶん、先生にはもう見えているんだろうけど、あえて自分で探してみなさい、ということなのかもしれない。

ならばやってみようじゃないの。
僕の前世がどんな人物だったのか、突き止めてやろうじゃないか!

※ちなみに今回の日記も手を休めながら書いているので、書き始めてからすでに2日が経っている。

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