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Kiezkinder * こどもミュージアムの、ご近所のこどもたち

こんにちは。
今日、8年前から働いているベルリンのこどもミュージアムで知り合った同僚たちと、Zoom越しに久しぶりにいろいろな話をしました。このこどもミュージアムでこれまで私は、参加体験型の展示をデザインしたり設営したり、ワークショップを企画・実行したり、いっぱいいっぱい遊んだり、本当にたくさんの経験を積ませてもらいました。

世界のたくさんの施設やお店のように、こどもミュージアムも、夏休みの屋外でのプログラムやお誕生日会を除いて、去年の3月から閉館したまま。何度もコロナ対策を練ってその度にスタッフ全員が研修を受けて再オープンを期待していたのですが、今日もまた、ミュージアムでこどもたちと会える日を今か今かと待っています。

1899年、ブルックリン芸術科学研究所の移転をきっかけに、こどもたちの自然な好奇心を刺激し満足させることを目標に、ニューヨークに「ブルックリン・チルドレンズ・ミュージアム」が誕生。それから、アメリカの各地に、そして世界にこの考え方が広まり、たくさんのこどもミュージアムが設立されました。
私が働いているLabyrinth Kindermuseum Berlinは、1997年の設立。

こどもミュージアムの特徴や大切にするべき点はいろいろとあるのですが、そのひとつが、地域に根付いていること。その地域の、その時代に合った、こどもたちにとって身近な存在であるべき場所なのです。


今日話していて特にみんな共通して思っていたことのひとつのが、
「Kiezkinderどうしてるかなぁ。。。」

"Kiez"とは、ご近所。
"Kinder"は、こどもたち。
つまり、"Kiezkinder"とは、ご近所のこどもたち。

私の働くこどもミュージアムでは、ミュージアムの近所に住むこどもたちが、週末に1時間無料で来られるようになっています。ミュージアムのある地区は、親の学歴や所得があまり高くない家庭が少なくなく、また外国人も多く、お休みの日にも家でゲームしたりだらだらとテレビを見たりやんちゃをしたりするこどもたちが多く、そんなこどもたちの居場所づくり、また自由に安心して遊べる場所づくりを、と2005年に始まりました。

まずは保護者と一緒に来て、保護者の連絡先やこどもの名前や生年月日などを登録カードに記入したら、Kiezkinderの仲間入り。みんな歩いて来れる範囲に住んでいるので、登録が終わったら、こどもだけでも来られるようになります。初めは少しおとなしくいていても、だいたいみんなきょうだいや友達と来るので、慣れてくると、わいわいがやがや。

毎週末来る子も多く、ミュージアムの隅々まで熟知しています。Kiezkinderには、ワークショップや、毎時行なっているアクティビティのお手伝いをしてもらうこともあります。新しく入ってきたスタッフには、Kiezkinderが得意気にミュージアムの案内をしてくれることも。居場所ができるだけではなくて、課題や挑戦することがあることで、毎週来ても退屈することなく、楽しみながら自信をつけていってほしいという願いも込めて向き合っています。
本当は1時間の約束ですが、お手伝いをしてくれたり、遊びやものづくりに夢中になっていたりするときには、みんなで目をつぶって、いつの間にか長居していることも多々あります。

Kiezkinderには手のかかる子も多く、ミュージアムやスタッフに慣れて来るとさらに甘えが出てやんちゃになったり他のこどもたちにやきもちを焼いたり。私はそこがまたかわいいと思ってしまうのですが、やはり問題が起こることもあり、Kiezkinderの制度が始まってから、週末に働くのを拒むスタッフもいたのだとか。今日初めて聞いて驚きました。

そんな逆風もありながらも、2005年から続けて来られたKiezkinder制度。たくさんのこどもたちがKiezkinderとして登録されています。今では昔のKiezkinderがスタッフとして入って来たり、また自分のこどもを連れて遊びに来てくれることも。

こどもミュージアムが一時閉館になってから一年以上。世界中のこどもたちがストレスを抱えている中、Kiezkinderのみんなもどう過ごしているかとても気になります。こどもミュージアムの近くを歩いていると、つい、Kiezkinderの誰かと偶然会えないかな、なんて考えてしまいます。再オープンしたら、みんなまた来てくれるかな。


もうすぐ再オープンして、また早くみんなに会えますように。
みんな元気に笑顔で過ごせていますように。

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