ほっこりを生んだ、男の子と路上生活者の地下鉄での会話。

こんにちは。

私の住むベルリンでは、地下鉄の中で路上生活者が小銭を乞う場面によく出くわします。

あれは、ベルリンの自然博物館に「トリケラトプスのトリスタン」の化石が来ていたときのこと。

地下鉄に乗っていて、次の次の駅が博物館の最寄り駅。

1人の路上生活者が、車内全体に行き渡るような匂いをさせて、
「今日寝るところがありません。小銭をください」
と乗客ひとりひとりにボロボロの紙コップを向けながらお願いしていました。

顔をしかめながら、小銭を渡す人や、首を横に降る人、顔を反らす人、聞こえないフリをする人たち。

その車内に、嬉しそうに大きな本を抱えている3〜4歳の男の子がいました。

その男の子に向かって、路上生活者のその彼が、
「わぁ、かっこいい本持ってるね!恐竜?」

「そうだよ!今から博物館に行くからね。トリケラトプスに会いに行くんだ!」
と、男の子は誇らしげな笑顔。

「いいねー!楽しんできてね!」

「うん、ありがと!」

この短い会話に、車内の雰囲気がほっこり温かくなったのを感じたのは私だけではないはず。

たくさんの人に顔をしかめられて小声で小銭を乞うていたけれど、その男の子にはフレンドリーに話しかけた彼。

偏見や差別なんて関係なしで、喜んで返答した男の子。

その横に座っていた、男の子の父親と思われる男性も笑顔でした。

子どもって、すごい。

大人が、まっさらな子どもたちに差別や偏見を植え付けてしまうのは、本当に怖くて罪なこと。

自分も無意識のうちに差別的な考えを持ってしまうこともあるかもしれません。

この2人の会話と周りの人たちのほころんだ笑顔を思い出して、
人はみんな、人。
みんな違って、みんないい。

ということを常に忘れずにいたいです。



ティラノザウルスのトリスタン、コペンハーゲンの自然博物館に行っていたようなのですが、今年またベルリンに戻ってくるようです。


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