就活病み期にまさかアメリカ人彼氏ができるなんて pt1

この就職活動の真っ只中、こんなことが起きるなんて。

まさかこんな時期に誰か心惹かれる人に会うなんて思ってもいなかった。


私は現在就職活動中の学生である。訳あって友人やクラスメイトとの関わりが全く無い中、就職面接や書類の不通過を経験していたため、毎日心細さを感じるような日々を送っていた。

そこである時、私はオンラインで友達を作ることにした。しかも海外の。元々英語は引き続き勉強しようと思っていたし、就職活動が終われば日本にいる外国人の友達を作って遊びたいと思っていたため、色々な人に話しかけることにした。

まずは、話しやすそうな同年代の女子に話しかけてみた。しかし、彼女らは可愛い自撮り写真をプロフィール画像に設定していたため、どうやらたくさんの人、特に男性から話しかけられているようだった。私はあまり相手にされていないのだろうと伝わるドライな返信が返ってきたり、そもそも返信が返ってこなかったりしたため、女子に話しかけるのはその時諦めた。

その後、今度は男性と話すことにした。たまに、自ら私に話しかけてくれる優しい人たちがたくさんいた。ただ、正直年齢が離れていたり、身なりにあまり気を使っていないような人が多かった。最初は偏見なしに色々な人と会話をしていたけれど、だんだんと違和感やもっと興味のある人と話したいという感情を抱くようになり、彼らとの連絡をやめた。

どうしようかな、そう思っていたある日、私はSNSである投稿を見た。それは国際カップルへのインタビュー動画で、彼らは私が使っていたそのアプリで出会ったのだという情報を手に入れた。まあそういった話は以前からよく聞いていたものだったが、その時はなぜか「やっぱりそうかあ。私も誰か良い人に会えたりしないかな」と思った。

そのため、私はあることを決めた。「もういっそのことマッチングアプリ的にこのアプリを使って、好きな人を探そう」と。本当に会えるかどうかなんて、あまり期待はしていなかったけれど。正直のところ、良い人がいないかずっと探してきてはいた。でも同時に、恋愛目当てで男子に話しかけることに少し抵抗感や気恥ずかしさを感じていたた。だからずっと、女子やその他のいろいろな人に話しかけることで恥ずかしさを紛らわして、恋愛に振り切れずにいた。多分、心の底では恋愛すること、誰かと近くなること、傷つくことが怖くて、ずっと避けていたのだと思う。でもその時はなぜか、誰か良い人に会いたいという気持ちが強くなっていたため、思い切って話しかけることにした。しかも、かっこいい人に!!

見た目がいい人に話しかけるなんてすごく邪道だなというか、人を外見で判断する自分に嫌悪感と罪悪感を感じた。でも、正直話してみたかった、そういう自分と住む世界が違うような人たちに。

今まで生きてきた中で、私はずっと美しいものに心惹かれてきた。例えば美術作品とか。だから、見た目や綺麗さへのこだわりが結構強い。これは人に対しても同じで、私は美しい人への憧れや妬みをずっと抱いてきた。過去にあることを経験し、私はいわゆる「かわいい」に当てはまらないのだとずっと感じ続けてきたため、自分がかっこいい人と話したり一緒になるなんて、そんな夢物語ないよな…と思っていた。

とはいえこの性格は変わるわけでもなく、やはりシンプルにかっこいい人と話してみたかったため(笑)、私は思い切ってイケメンに話しかけることにした!!



確か最初3人に話しかけた。皆、The 海外イケメンって感じだった。そのうちの一人とは、話すことがお互いあまりなかったため、何回かのやりとりで終わった。話したいとは思ったけれど、別に連絡が返ってこなくても全然気にならなかった。やっぱり外見だけではなくて、話の合う合わないがあるのだと気づいた私は、他に話せそうな人がいないか新たに探し始めた。

そうして画面をスクロールしていると、ふとある人のプロフィールが出てきた。茶色の髪に端正な顔立ちの海外男子。「、、?!か、かっこいい、、!!」容姿コンプレックスを持つ私は、そんな綺麗な顔をした男の子に出会ってしまった。外見だけで判断する自分にこう言い聞かせる。「また連絡が続かないような人かもしれないから、全く期待せずに話しかけてみよう」

その彼は、もうすぐ日本を訪れる予定があるようだったので、そのことに触れつつ挨拶をしてみた。そして数分後、返事が返ってきた。返事の内容は覚えていない。が、それを機に話し始めるとあることに気づいた。彼はずっと日本語で返事を返してくれるのだ。私が英語で話しかけても。今まで日本語で話してくれる人も中にはいたけれど、段々と英語に移行する場合が多かった。ここまで積極的に日本語を話してくれる男の子には会ったことがなかったため、結構驚いた。

話を続けていると、彼から5秒ほどの短いボイスメッセージが届いた。再生ボタンを押し耳を傾けると、「新卒ですか?ていうか今何年生?」という声が。「新卒」なんて単語よく知ってるな、という第一印象の次に私が思ったのは、「なんか声可愛いくね???」

15分くらい話していたと思う。彼も私もお互いの母国語を優先して話していたから、とても心地良かった。ボイスメッセージも送り合ったので、お互い「おお結構英語/日本語話せるじゃんこの人」となって、話が盛り上がった。そうするうちに「これ楽しい」「今度いつか電話しよう」と言ってくれた。すごく嬉しかったし、友達との会話という感じでシンプルに楽しかった。向こうがもう寝る時間だったためチャットはそこでいったん終わった。

アプリを閉じた後、私はずっとその会話の事を考えた。始めは、かっこいいという印象が強かったけれど、会話をしているときにはそんなことはすっかり忘れていた。

今まで英語を練習しようと半強制的に色々な人に英語で話しまくっていた私にとって、日本語で話してくれる人の存在は自分が思っている以上に大きかった。英語でコミュニケーションするのが好き、英語を話すのが好きだと自分に言い聞かせ、私はずっと日本語のコミュニケーションをできるだけ排除してきた。少し無理をしていたのかもしれない。彼が私にかけてくれた日本語はとても温かくて、自分が救われるような、心がほっとするような気持ちになれた。

気づけばそんな考えが夜まで続いていた。心の奥底で何かが動き始めたことをかき消そうと、「きっと彼は私の良い友達だ」と自分に言い聞かせた。




pt2に続く

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