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「御社にそのシステムは不要です。」〜中小企業のための“失敗しない“IT戦略〜

「事業促進のためにも、IT化を進めたい」

そうは思っても、多額な費用がかかったり、何から手をつければいいのかわからなかったり、どの業者に依頼すればいいのか迷ったり…

目の前に立ちはだかる壁は高く、なかなか最初の一歩を踏み出せませんよね。

今回お招きしたのは、超有名企業から中小企業を中心に700社以上の業務改善・システム構築を通して“現場に届く提案“を実践してきた株式会社ジョイゾー 代表取締役社長 四宮靖隆さん。

2021年2月に上梓された書籍『御社にそのシステムは不要です。』(あさ出版刊)を中心に、IT化に悩む方々に向けて、さまざまなお悩みにお答えいただきました。その内容の一部をレポートします!

【ゲストスピーカー】
四宮 靖隆 氏
株式会社ジョイゾー 代表取締役社長
1976年東京生まれ。東海大学文学部西洋史学科卒業後、システム開発会社に入社し、インフラ業務に携わる。2010年、株式会社ジョイゾーを設立。2011年にサイボウズがリリースした業務改善プラットフォーム「kintone」に大きな可能性を感じ、2014年6月に日本初のkintoneをベースにした「来店型」「定額」「初回無料」の対面開発サービス「システム39」をリリース。kintoneの導入実績の豊富さや知識の深さから、Mr.kintoneと呼ばれる。

四宮 琴絵 氏
株式会社ジョイゾー 取締役COO、合同会社Hokkaido Design Code 代表、一般社団法人学校地域協働センターラポールくしろ 理事
1976年北海道生まれ。高校卒業後、地元企業に事務として入社。カラオケの全道大会で芸能事務所に声をかけられ上京し、2年間の芸能生活を送る。2000年からIT企業に勤め、営業事務を経てSEへ。夫となる四宮 靖隆氏と社内で出会い、2005年に結婚。3人の子どもの出産を経て、2014年にジョイゾーへ参画し、2019年より取締役COOを勤める傍ら、Hokkaido Design Codeの立ち上げやラポールくしろの理事に就任するなど精力的に活動中。

落合 絵美 氏
株式会社Kiss and Cry 代表取締役
1982年、埼玉県生まれ。早稲田大学第二文学部・表現芸術系専修卒。大学卒業後、高額商材の販売員を経て出版社に勤めたのち、PR会社に転職。広報業務のコンサルティングのほか、書籍プロデュースなども手掛け2018年より独立。2020年に株式会社Kiss and Cryを創業し、ライター・フォトグラファーとしても活動するほか、東日本大震災の復興支援活動をきっかけに、NPO法人きっかけ食堂の理事も務める。

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――書籍『御社にそのシステムは不要です。』(あさ出版刊)は、難しい専門用語もまったくなく、これから先ずっと読まれていくようなとても親切な本だと感じました。一番読んでほしいのはどんな方なんですか?

四宮さん:
本のサブタイトル「中小企業のための〝失敗しない〟IT戦略」のとおり、読んでいただきたいのは中小企業の経営者の方か、現場担当の方ですね。

業務改善をしなきゃいけないけど、人もいないし、お金もないし、どうしたらいいんだろう、と悩む方たちがターゲットです。だからIT業界でよく使われる3文字英語や、難しい言葉は直接入れないように意識してまとめました。

――あらためて、四宮さんは新卒からはIT業界に勤め、2010年に株式会社ジョイゾーを立ち上げて、10年間kintoneのSIをやられていますが、社会人になってからジョイゾーを立ち上げるまでの「ヤングライオン時代」をお伺いしたいです。

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四宮さん:
自分は1999年に社会人になり、もともとド文系だったんですけど、「これからはIT業界だ!」とSEになろうと思い、独立系のSI企業に入りました。当時『シムシティ』(都市建設ゲーム)が好きで、何かを作りたかったんです。

でも、研修が終わったら絶対に行きたくなかった「情報システム部門」に配属されて、1年以内にやめようかな…とも思っていたんですけど、ネットワークやサーバーの仕組みを覚えたり、スクリプトを書いたり、プログラミングにも関わったりした結果、そこが原点になりました。

当時はロータスノーツ(IBMのグループウェアソフトウェア製品)全盛期だったので3年ぐらい運用もしていました。その後「社内向けじゃなく、お客さん相手の仕事がしたい」と独立系の別のSIerに転職をしたのですが、転職したタイミングでサイボウズが出したGaroon(ガルーン)の構築ビジネスを始めるということでそこで初めてサイボウズとの関わりができました。システム開発の手法も分析し、本格的にSIにどっぷり浸かっていきましたね。

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四宮さん:
昔はSIというのは本当にキツくて、3Kの代表的な仕事でした。自分はお客さんに実際に使ってもらって「便利だよね」と言ってもらえる喜びは、なかなか得られない快感だと思っていたんですけど、まわりを見ると残業だらけですごい疲れているので、ずっとモヤモヤしていました。

本来、ITを入れることって結果的に社内の業務の効率が良くなって残業が減ったり、自分の仕事も楽になって楽しさが出たり、会社の売り上げが良くなって給料が上がったり、お客さんのそのさらにお客さんにも喜ばれることだと思うんです。

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そのお手伝いをやっていきたいなと思い、会社を辞めて独立するときに、「ENJOY」をひとつの企業理念の中心に添えました。なので、この本はITの導入の仕方に加えて、ITを、SIを再定義したいという思いもこめられています。

――「新しいSI」という言葉があったと思うのですが、四宮さんのなかで「新しいSI」はそれまでの「古いSI」と、大きく何が違うんでしょうか。

四宮さん:
お客さんに対してどれだけ価値のあるものを提供できるのか。システムはもちろん、プロとしてお客さんの業務に入り込んで提案することによって生まれる価値。あえてシステムを入れないっていう選択肢もひとつの価値だと思っています。

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――ジョイゾーさんのサービスのベースとなっているのはサイボウズの「kintone」ですが、このリリースは独立のきっかけでもあったんですか?

四宮さん:
実は逆で、独立してからリリースされたんですよね。独立はしたけれど、正直何をしようかは決めていなくて(笑)。サイボウズとはずっとやらせてもらっていたので、製品を使って何かしたいとはずっと思ってました。kintoneは見た瞬間、自分のやりたいSIビジネスができると直感的に思いましたね。

――なるほど。今日は出版記念イベントということで、実はサプライズで、サイボウズ代表取締役社長・青野さんもお呼びしております!

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青野さん:
いやー、『御社にそのシステムは不要です。』はヤバい本ですよ。僕のイチオシは業者選びのところなんですけど、今って業者選びのポイントも変わってきてるじゃないですか。

昔だったら実績でアピールするんですけど、テクノロジーも変わって、開発仕様も変わっているから、実は実績ってあまり意味がなくて、むしろインターネットで情報発信して、インタラクティブにやってるところを選ばないといけない。

うわ、四宮さん言っちゃったよ、喧嘩売っちゃったよ〜! って思いましたね。

逆にもっとアピールしたほうがいいと思ったのは、「システム39」のところ。定額で受託開発ですよ、しかも39万円ですよ!?システム開発ってもっと重たいものだったと思うんですけど、それが39万円で見積もり要らず。

無理やりプロレスで例えるなら、武藤敬司のムーンサルトですよ。ジュニアヘビーがやるものだったのが、ヘビー級が飛んじゃった感じ。これで商売成り立たせたらもうほか勝てないよって。

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四宮さん:補足ですが、弊社がやっている「システム39」というのは、対面型のシステム開発のことです。1回2時間を3回、お客さんの業務システムを39万で作りますというサービスで、3回のうち最初の1回は無料で開発をやらせてもらってるんですよ。

最初に何が作りたいかをヒアリングしながら、作るのをお見せする。すると8割ぐらいkintoneのひとつのシステムが出来上がるんですよね。そこでお客さんから、これでうちの業務効率がよくなるな、と思っていただけたらそのタイミングでご契約をいただければOK。

しかも、「システム39」では、もし欲しいシステムが2回で作り終わったら、3回目では別のシステムも作れるんです。そこも今までのシステム開発とは違うと思っています。

青野さん:
これが普通成立しないと思うんですよね。初回無料で39万円。ビジネス的には厳しいのかと思っていたんですけど、この数年で完全にモノにしたというか、着実にお客さんをまわしてしていけるようになって、継続リピーターも増えて、かなり強いですよね。

四宮さん:
昔からシステム開発に最初から値段が付かないのにモヤモヤしていたんですよね。まずは価格を出せばお客さんにとって判断がしやすい材料になると思っていたので、定価を出しておくのにひとつ価値があるのかな。

39万じゃできないでしょ、と同じ業界の人によく言われますが(笑)。

青野さん:
そう思うでしょうね。でも39万円で慣れちゃったお客さんは他に頼む気が失せると思うんですよね。たくさん説明をされて、ようやく見積もりが出てきたと思ったら、そこからまた交渉が始まって…もう頼みたくなくなってくると思いますね。

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――この出版にあたって、すごく尽力いただいた方がおられるというところで、またご紹介します。株式会社Kiss and Cry 代表取締役の落合絵美さんです。

落合さん:
私は広報の会社をやっているんですけど、その一環で書籍の出版の企画をお手伝いする仕事もしています。ジョイゾーさんは以前から広報をお手伝いしていたんですけど、去年の夏に出版社が決まってからは、ひたすら書いていただきましたね。

ジョイゾーさんはシステム導入をしているというよりは、課題解決屋さんで、会社のなかの困りごととか、要件定義をしなおしてあげてるんですよね。

世の中にはシステムを導入するのが目的じゃなくて、課題解決を本当はしたいんだけど、システムで解決できるだろうと、とりあえず導入して失敗する事例があるので、これは本当に困っている中小企業さんの役に立つ本にしようと考えました。

――ジョイゾーさんの対面開発スタイルだとコミュニケーションをとるわけじゃないですか。だからお客さん主導で押し付けられて開発するんじゃなくて、潜在的な悩みを知るみたいな。いわゆるコーチング能力のような「引き出す力」が必要ですよね。

琴絵さん:
それは1番得意なところですね。いろんな方向から聞きます。なかには波長が合わないお客さんもいるけど、その場合は向こうも同じように思っているから、私から断りますね。

どちらも幸せになれないから、って。嫌な思いをしながら業者と接点持たなきゃいけないくらいなら、業者はごまんといるからうちでやる必要はないですって言います。

――ストロングスタイルじゃないですか…。

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琴絵さん:
チームとして見てくれるかどうかですよね。同じ成功が見たいのに、中と外でわかれる必要はない。「そちら側で作ってください」という人に対しては、「丸投げに応えてくれる人と作ってください」と思います。

四宮さん:
自分が困ったときに振り返れるようなマニフェストを作ったんですけど、そのなかにお客さんとは上下関係があるわけではなくて、相互に自発的な信頼関係を築けるもの、というのがあって。会社を作ってからずっと大事にしている思いかもしれないですね。

落合さん:
四宮さんたちの話を聞いてすごいなと思ったのが、システム開発に興味がないような普通の人たちが、「システム39」でお話してるあいだに「私もシステム好きになりました!」と自発的にいじって、ITを好きになっていくこと。

自分が会社員時代にシステムを導入したときは、見積もりや設計図もちんぷんかんぷんで嫌な思いをしてきたので、ジョイゾーさんの考え方ややり方を伝えることは、社会的に意味があると思いましたね。

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――最後に一言ずつ、お願いします!

落合さん:
日本中にはいまだに「パソコンに触ると壊れる」と思っているような人たちがいて、きっと皆さんのまわりにも悩んでいる人たちがいると思うので、ぜひこの本を届けていただければと思います。

琴絵さん:
IT戦略とはなってますが、ITはあくまで手段。すべての人生に当てはまってくれる内容となっているので、二度美味しく読んでいただけると思います!

四宮:
著者は私ですが、メンバーのノウハウをぎゅっと詰め込んだ内容で、チームジョイゾーの本でもあります。

一番大事なのは作ったシステムを運用し、業務改善を繰り返していくための「熱量」。それを維持するためには、どうまわりを巻き込んでいけばいいのか、我々みたいな業者とどう付き合っていけばいいのか、どういうふうにシステムを作り上げていけばいいのか、そんな「闘魂」が詰まっています。

――その熱い思いが伝わるような本当に素晴らしい本だなと思っております。本日はありがとうございました!

大切なのはシステムを導入すること自体ではなく、導入することで業務改善がなされ、自分たちや自分たちのお客さんの喜びへとつながること。

自分たちの業務がより良くなるにはどうすればいいのか。

この本をきっかけに、IT化への第一歩を踏み出してみてください!


ライター いしかわゆき(ゆぴ) @milkprincess17
meetALIVE プロデューサー 森脇 匡紀 @moriwaking
meetALIVE コミュニティマネージャー 小倉一葉 @osake1st


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