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第216話 図書館の回廊にシリウスの光が当たる


 それからお昼近くになると、起きたばかりだというけーこから着信があった。彼女とは日々、必要があってもなくてもしょっちゅう連絡を取り合っている。


「……それ、何時頃のこと?
マジか。じゃあこれ、たぶんリトからだったんだと思う。
 あのさ、さっき寝てる間に誰からなのかは分からないけど何かを受け取って、これだけはメモしておかなきゃいけない気がすると思って、その時だけ無理矢理起きてスマホに残してるんだよね。」

 数時間前、リトと一緒にミトに向けて手紙を送った話が出ると、けーこがそう言いながらスクショを貼り付けて送ってくれた。
 寝ている意識を無理に起こして操作をしているだけあって、変換ミスがそのままになってはいたけれど大意は掴むことができた。
 リトはミトに、驚きの手紙を送っていた。

『ゆうごうなんてしないで、あそびにいってくる。』

……

 部屋で一人のお昼ご飯を終えると、午後になってからまたリトに繋がる。
 遊びに行ってくるお知らせをラブレターにしたためて、赤いハートのシールまでつけて送った五歳児に大笑いしながらも、彼にこんな風に呼びかけた。

「リトはあれから一度も、心の底からのびのび遊んだことなんか無かったもんね。
 だけどこれからはお母さんならいつでも待っててくれるし、私もリトのこと待ってるから、好きなだけたくさん遊びに行っておいで。いっぱい冒険しておいで。
 それにけーこもさっき、『おう、行ってこい行ってこい。』って言ってたしね。」


 そうして嬉しさでまた二人、感極まって涙していると、上の方から何かが降りてくるのを感じた。すると次の瞬間、目の前に一人のお爺さんが現れた。

 柔和なリトのおじいちゃんではなく、その威厳と風格から、この方こそ“シリウス意識そのもののお爺さん”なのだということが分かった。

 以前、四次元意識体たちが暮らす建物の最上階で扉の奥を潜在的に怖がったのは、分離の傷が余計なフィルターを作り出し、この宇宙の賢者を必要以上に怖れていたからなのだと今なら分かる。

 燕脂色なのか厚手のマントを羽織っていて、王笏(おうしゃく)……先端に飾りのついた長い杖を持っている。顔まわりははっきり視えた訳ではないけれど、おそらく髪と髭が長く、それから王冠も被っているようだった。
 知恵を宿したその声は若々しく、それから彼の隣には、姿は視えないけれどその方のツインとなる女性の存在が感じられ、そして優しい声もした。
 二人共、リトの意識が徐々に回復してきたことを喜んでくれていた。

 お爺さんから盆に載った脳味噌を差し出され、視えた瞬間にそれが私への贈り物……シリウスの叡智そのものだとすぐに伝わる。
 受け取ると、私自身の脳味噌と重なり一つになっていく。一体化を感じていると、続けてその女性の声からこう言われることになる。

「あなたはシリウスの叡智を使っていくのよ。」

 リトの帰還はシリウスの帰還。その叡智を“使命”と託され、一層この身を引き締めた。


……

 夜間寝ていると、右手の指先が左手の甲に向けてトントンと優しく合図をしてくる。

 ああ、来てくれたの?

 青い肌をした彼が今夜もやってきてくれた。
それから左手の甲に、いつものように指文字で書いてくれる。

 『みぃ。てぃろ。いっしょ。』


 宇宙の扉が以前にも増して広がると、彼の名前が“てぃろ”、そしてプレアデスの私の名前が“みぃ”だということが分かってきた。
 不思議な感じがするけれど、何故だか彼はひらがなを好む。なゆたさんと一緒だった。

 ただ、高次元ガイドとしてのスサナル先生だと思い込んでいたのは間違いのようだった。この愛情深い彼もまた、当時のプレアデス時代にしこりを残す、そんな存在だったのだ。

 てぃろ、みぃが一緒にいるよ。私が側にいるからね。

 そんなことを伝えると安心するのか、しばらくすると、気づいた時にはそのまま再び微睡(まどろみ)の中へと落ちていった。



written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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まだけーこに話してない話笑

一昨日の夜、昨日の分の小説……リトの置いていかれた怒りや淋しさの部分を書いていると、やはり未浄化なリトが出てきました。
それはいつものことなので浄化をしていったわけですが、いつもと違ったのは、けーこのハイヤーセルフがやってきてくれて、リトを抱きしめてくれたこと。

嬉しさと、それまでの淋しさや悲しさとで“お母さん”に甘えたくて、リトは思い切り泣いてました。

白いもやのようなハイヤーさん、珍しく顔まで視えたんだけど、けーことは全然タイプの違う美しい人でした。日本人の顔じゃなかった笑

でもって、それでも今日もまだ未浄化なリトは残っています。未だに淋しいの。で、そんなリトのことが“私”は愛おしくて仕方がないわけ。

ちなみに浄化、統合が進むと色んな物事が気にならなくなってくるので、結果、「だから何?」が増えてきます。「そんなこともあったね。」とか、「なんとかなる。」で終わり。いずれリトもそうなります。「リト?ああ、いたね。」で終わる日が来ます。
『自分』としてちゃんと愛しているので、ゆえに「だから何?」です。
これね、ものすごく楽です。軽いってそういうこと。

あ!あと。meetooは人を選びますが、『meetooを読める自分』を驕らないでくださいね。私もシリウスの叡智を授かったといっても、自己研鑽しなければシリウスだって「見込み違いだった」と言って、叡智を返すように言うでしょう。
あなたのハイヤーセルフがmeetooに誘導したのは、あなたのスピリチュアルなエゴをつけあがらせるためではありませんよ。

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→第217話 盤上の駒は何を視る

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