不動産屋さんのこと

夫の会社には、社員の転勤が多い割にはあまり社宅は無く、転勤先では
借り上げ社宅に住むことになりました。
会社の方で探すこともできるし、自分で探してもいいと言われました。
もちろん、自分で探すことにしました。

でも、転勤先は、そのときに住んでいた土地からはとても遠く、
移動するには時間もお金もかかるところでした。


私は、メゾネットタイプのアパートが希望でした。
本当は一軒家に憧れが強く、住みたかったけれど、会社の条件的にそれは無理だったからです。
今はメゾネットタイプのアパートなど珍しくもなんともないですが、
その当時はあまりない物件でした。

いくつかの不動産屋に電話をかけてみました。

遠いので直接出向くことができないこと、住みたい地区、希望の家賃、
出来ればメゾネットタイプのアパートがいい
と告げると、
「そんな物件はうちでは扱っていませんね。」
と、素っ気なく断られることがほとんどでした。
そんな中、3件ほど、
「では探してFAXを送ります。」
と言ってくれたところがありました。

そのうち2件は、ほぼ言ったとおりの条件の物件を探してくれたようで、
せいぜい3つほどがそれぞれ送られてきました。
ところが残りの1件は
希望していない地区、希望より高い家賃、マンション、一軒家と、あらゆる物件をじゃんじゃん送ってくるのです。
比べるものがあるとやはり、希望していた家賃より少し上の物件がよく見え、住みたい地区とは違うとはいえほんの少し離れたところだったり、
幼稚園や学校が近い住みやすそうな場所だったりして、
結局は最初に考えていたところのとなりの区の、しかもマンションに、決めました。

私はこの営業マンにすっかり感心してしまいました。
『こんな条件』と言われたからといって、本当にその条件に合ったものしか提示しなければ、選ぶ範囲が狭まり、結局は気に入るものがなかったわけなのです。
もちろん、条件にピッタリ当てはまる運命のような物件に出会えることもあることでしょう。でも、それは奇跡に近いかもしれません。

初めてその営業マンに会った時、さらにビックリしました。
モデルのようにスラっと背が高いイケメンだったからです。

それはさておき、

会社では、借り上げ社宅の家賃をお給料から差し引くときに、
坪×いくら という計算の仕方をしていました。
夫がそのことを話すとその営業マンは
「では会社に提出する図面は一部屋削除したものを作りましょう。」
と言って、そのように取り計らってくれたのです!
何と仕事が出来る人なのでしょう!!
(とってもイケないことですけども。ちなみにもうその会社は存在していません)

私は、この営業マンから学んだことは、きっといつか何かの役に立つに違いない、と思って生きてきましたが、今のところはこれといって役に立ってはいません。

でも、忘れられない経験になりました。

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