モンテ・クリスト伯2-アレクサンドル・デュマ

#読書記録 2021.01.16 5冊目
 

■ざっくりあらすじ
1巻
・若く才能ある航海士エドモン・ダンテスが、嫉妬心から無実の罪で告発され、監獄シャトー・ディフに投獄される。
・監獄で、知識と知恵を備えた老人、ファリア神父(でも看守達には気が狂ったと思われている)と出会い、エドモン・ダンテスはその叡智を吸収し成長する。
・エドモンいい子なのに救われない…

2巻
・ファリア神父が病死し、その死体と入れ替わってエドモンは脱獄する。
・ファリア神父が言い残した宝(看守から気が狂ったと思われていた原因)を求めて、エドモンはモンテ・クリスト島へ向かう。
・エドモンは宝を発見し、それを用いて恩人であるモレル氏を救う。
・そして省みるべき恩義を果たしたエドモンは、自分を陥れた悪人達に復讐を始める。
・2巻ではまだ復讐は始まらない。脱獄とモレルさんを助ける章がハイライトで、ファリア神父が我が子のようにダンテスの幸福を祈る気持ちと、善人であるモレルさんが周囲の人を想う気持ちに感動する。

■感想

「あなたは、わしのみじめな生活にとっての慰めだった。天によってあなたを与えられることが遅きに過ぎたが、あなたはわしにとって、値の無いほどの貴い贈り物にちがいなかった。その意味において、わしは天に感謝している。いま、あなたと永遠に別れるにあたって、わしはあなたにふさわしいあらゆる幸福、あらゆる繁栄を祈っている。わが子よ、わしはあなたを祝福するぞ!」
出典 モンテ・クリスト伯2-アレクサンドル・デュマ(岩波書店)

・ファリア神父が死の間際に、ダンテスに伝えたセリフ。長く辛い獄中生活において、ダンテスの存在がファリア神父にとってどれだけ大きい希望だったのかを感じさせて、思わず涙がこぼれた。
・獄中ということもあってかもしれないけれど、人と人が思いを通わせるのは血のつながりだけではないと感じた。ダンテスは、気が狂っていると有名であったファリア神父を、その聡明さと知識の深さから尊敬し愛し、ファリア神父は自分に対して誠実に向き合い教えを乞うダンテスを息子のように愛し知恵を授けた。まさに2人は親子だと思ったし、引用のセリフを読んで、その愛がどれだけ深いかと考えると、ただただ愛の深さに感動した。

モレル氏は、あきらめと、このうえない感謝の色を浮かべながら両手を高く差しあげた。「ありがたい、ありがたい!損害はわたし一人ですんだのだ。」
出典 モンテ・クリスト伯2-アレクサンドル・デュマ(岩波書店)

・所有する最後の船であるファラオン号が沈んだという知らせを受け、自分の破産が確定したにも関わらず、「乗組員が助かった」という情報を聞いてモレル氏が言った台詞。
・モレル氏は自分が破産して債権者にお金を返せないことが申し訳なくて自殺を考えるような状況であったのに、まず乗組員の命が救われたことに感謝した。私は私のことで精一杯なときに、他者の幸福を祈れるのだろうか…と思ったし、モレル氏のただただ善である性質に感動した。これはダンテスも助けたくなるよ…幸せになってくださいモレルさん…

《気高い心の持ち主よ、幸福にお暮らしなさい。あなたが過去でなされた、また未来においてもなされるであろう善行の恵みをお受けなさい。そして、このわたしの感謝の心も、あなたの善行と同じように、どうか表面に表れないおのでありますように。》
「なさけよ、人道よ、恩義よ、さようなら・・・人の心を喜ばすすべての感情よ、さようなら!・・・わたしは善人に報ゆるため、神に代わっておこなった・・・さて、いまこそは復讐の神よ、悪しき者を懲らすため、御身に代わっておこなわしめたまえ!」
出典 モンテ・クリスト伯2-アレクサンドル・デュマ(岩波書店)

・モレル氏を救ったあと、その幸せそうな姿を見ながらエドモンが言った台詞。
・エドモンはもともと善人で、純朴で、この世に悪があるとは思わない青年だった。そして、その心はこの時点では残っていて、ただモレル氏という自分を顧みず人のために尽くせる善人の幸福を祈っていた。
しかし、モレル氏を救ったことで、エドモンの中での善性や心残りは死に、これから復讐が始まっていくのだなあと想うと、切ない気持ちになった。エドモンも、美しい婚約者と結婚して、幸せに生きているはずだったのに。そのエドモンの普通の幸せを捨てさせた悪人たちが許せないと思ったし、エドモンにとって復讐しか道が残されていないことが、たただ悲しい。。。

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