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社員に朝ごはんを食べてもらいたいのでポスターを作りました

メディックメディア メディカルイラストレーターグループ(MIG)のエイリアンです。
最近お気に入りの朝食は納豆ごはんです。

メディックメディアMIGは『病気がみえる(病みえ)』をはじめとする書籍の組版やイラスト制作以外にも、社内の様々なイラスト・デザインの制作を請け負っています。
過去に制作したものの1つに、「社内に掲示するための健康推進ポスター」というものがありました。依頼元は「食生活改善委員会」です。
食生活改善委員会は、会社として社員への健康の取り組みを推進するために、衛生委員会(※)に紐付いた小委員会として発足した組織です。有志社員によって運営されています。

※衛生委員会とは、労働者の健康の確保に必要なことについて調査と検討(調査審議)を行う委員会のことである。

職場の健康がみえる 第1版 p.101より引用

当社の健康上の課題

毎年、健康診断シーズン終了後に、当社が加盟している健康保険組合から「メディックメディア社員の健康課題」が届きます。
食生活改善委員会が設立された当初(2020年)の健康課題としては、「朝食を抜く社員が多い」が挙げられました。

3人に1人の割合で朝食を抜いているようだ

朝食を抜くことは肥満や2型糖尿病のリスクを高める、というデータがあるそうです(下記※)。この点を社内に情報提供したいということで、食生活改善委員会からMIGにポスターの制作依頼がありました。
日頃から『病みえ』制作でわかりやすさを追求しているMIGとしては、単にポスターのデザインやデータ化を行うのではなく、情報の見せ方についても協力したいと考え、制作の初期段階から関わらせてもらいました。

ポスターを制作する狙いとしては、

  • 朝食欠食は自分には関係ないと思っている(無関心期の)社員に向けて動機づけを行いたい

  • 無関心期でも、根拠を示してあげれば意識が変わるのではないか

  • 継続的かつ強制的に目に入るという点で、PDFでメール送信するよりもポスター掲示に利がある

というものがありました。
根拠を示すという点で、時間栄養学に関する論文(※)を参考に、朝食欠食が肥満を引き起こすメカニズムについてビジュアル化することになりました。
時間栄養学.金 鉉基,柴田 重信.体力科学 第69巻 第5号,401-411(2020)

何を見せたいか?を考える

食生活改善委員会から、最初に見せてもらったポスターの草案はこちらです。

「①社員の朝食欠食率」「②朝食欠食による健康リスクの上昇」「③肥満になりやすいメカニズム」という3つの内容を盛り込んだ案になっています。
草案を食生活改善委員会&MIGの制作メンバーで確認しつつ、下記のような議論をしました。

内容面

  • 「①社員の朝食欠食率」を「男性/女性」で比較しているが、これでは単に「男性社員の方が女性社員より朝食欠食率が高い」というデータであり、「メディックメディア社員の朝食欠食率が高い」ことが伝わらない。「メディックメディア社員/保険組合の平均」で比較することで、「自分たちは朝食を食べていないんだな…」と伝わるのでは。

  • 「③肥満になりやすいメカニズム」については、医学系出版社とはいえ全てのスタッフが膵臓や肝臓の正常な働きを把握しているわけではないため、どこに問題があるのかわかりにくいかもしれない。「正常時(朝食摂取時)」をまず説明し、「異常時(朝食欠食時)」を並べて比較できるようにしてはどうか。

レイアウト面

  • ポスター内で、前後の文脈が繋がっていない。「①社員の朝食欠食率」と「②朝食欠食による健康リスクの上昇」を矢印で繋いでいるが、①と②には関連がない。また、①と②のあとに「③肥満になりやすいメカニズム」の説明がくると唐突な印象がある。

表現面

  • 「①社員の朝食欠食率」の数値が視覚的に伝わるよう、文字だけではなく円グラフで示してはどうか

  • 全体的に、メディックメディアの栄養分野のキャラクター、スーパートマトに解説してもらうと親近感が湧くのでは。

なんでも知っているスーパートマト。
栄養士・管理栄養士のための なぜ?どうして?」で栄養学をレクチャーしてくれる。

制作メンバー同士でポスターの狙いを改めて確認し、ポスターを読んだ社員がメカニズムを知った上で改めて朝食欠食を自分事として捉えてもらえるように、

②朝食欠食による健康リスクの上昇(客観的な事実を示す)
③肥満になりやすいメカニズム(根拠を示す)
①社員の朝食欠食率(自分事として捉えてもらう)

という文脈にまとめ直すことになりました。

デザインは『病気がみえる』紙面を踏襲

デザイン面については「『病みえ』のトンマナ(※)に準じて」という以外はMIGにお任せだったので、イラストのタッチは紙面の雰囲気に近づけ、全体的にはビタミンカラーを中心に爽やかな印象になるように制作しました。
※トンマナ:トーン&マナーの略語。印刷物などにおいて、デザインの雰囲気に統一性を持たせること。

完成したポスターはこちらです。

2022年夏、こちらのポスターの掲示がスタートしました。社内の給湯室・冷蔵庫・オフィスコンビニ付近など、食品を手にするタイミングで目に付く場所に掲示されています。

ポスターの効果を検証する

ポスター掲示と同時に、社内全員が参加しているSlackチャンネルに食生活改善委員会からPDF版を投稿しました。そのスレッドには、
「とてもわかりやすいと思いました。これから朝ご飯を食べようと思います!」
「コーヒーとクッキー1枚でも朝食になりますか?」
など、複数の社員から感想や質問が寄せられたので、社員が朝食に関心を持つきっかけの一端を担えたかな? と思います。

肝心の朝食欠食率ですが、
ポスター制作企画が立ち上がった当時(2020年度)の34%から、翌年は26.6%、翌々年は20.3%と改善し、保険組合の平均を下回りました
社員の入れ替わりもあるため、ポスターの効果と一概には言えないにせよ、健康課題の改善が見られたのは嬉しいですね。

健康が 基礎にあっての よい仕事

メディックメディアの健康経営の取り組みや、MIGが関わった社内の健康づくりの事例については、こちらの過去記事もご覧ください。

 

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