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Paradise Killerをプレイ: トップノッチの世界構築

パラダイスキラーをプレイしました。遊んだのは結構前なんですが、YouTubeでたまたまメインテーマを見つけて聴いていたらプレイ当時の感覚が蘇ってきました。Xbox Series XでGame Passの配信期間中にプレイしました。クリアまでの時間は10時間程度、ジャンルとしてはアドベンチャーですがオープンワールドのアクション要素も含まれています。


概要

「誰が楽園を殺したか?」という謎を解決するため、とある理由で隔離されていた主人公レディ・ラブ・ダイが事件現場の島を捜査していくアドベンチャーゲームです。
フィールド探索は一人称視点でのアクションですが、タイミングや反射神経は要求されず、代わりに微細な証拠を発見する注意力が求められます。簡単な図形合わせパズルも登場します。
会話可能なキャラクターは殆ど全員事件の容疑者となり得ます。鹿顔のアイドルから骸骨姿のバーテンダーまで、個性豊かな面々と会話し情報を集めていきます。

良かった点

世界観の構築は他のゲームの類を見ない程に作りこまれています。ゲームを起動してから30分間で脳に入ってくる情報量が他のゲームやメディアとは桁違いに多いです。本当にどうやったらこの世界と設定を思いつけるのか不思議で仕方がありません。
探偵・刑事モノの作品では前提となる世界は現実に即している場合が殆どだと思いますが、この作品では舞台がどんな設定で、主人公はどんな人物で、どんな事件がいつどこで発生したか、これらの情報を全て手探りで繋ぎ合わせていく必要があります。集めた情報は全ていつでも振り返ることが可能なので、行き詰った場合は手元の情報から次に必要な行動を考えられます。
捜査範囲である島も丁度良い大きさで、ロケーションも豊富です。事件現場から遠く離れた場所にも核心となる手がかりが配置されていたりするので、足で稼ぐタイプの探偵になり切ることができます。
NPCの個性も際立っており、全員が全員何か隠し事をしている状態から物語はスタートしていきます。手に入れた証拠を突きつけつつ、各々の主張から少しずつ事件の真相が見えてくるアドベンチャー特有の楽しみもあります。
グラフィックと音楽も独特な世界観の構築に役立っています。どの国のものとも取れない不思議な島と、ヴェイパーウェーブと呼ばれる浮遊感のある音楽は探索を飽きさせない大きな要因となっています。特にエンディングのメインテーマは必聴ものです。日本語訳も完璧でした。

気になった点

難易度は高いです。ゲームの難易度も高いですが、世界観や価値観、概念の捉え方を学ぶのに時間がかかると思います。人によっては最初の時点で理解が追いつかず退屈になってしまうかもしれません。
捜査も一筋縄では行かず、見つけるべき手がかりも与えられるヒントが少ないことが多いため、ステージをくまなく歩きまわる必要があります。
アドベンチャーゲームでよくある章分けも無く、全ての事件が密接に関わっているため、中断する目処も付けづらいはずです。
エンディングにあたる犯人の特定も、決まった正解が無い場合があり、自分の操作と状況証拠から判断する必要があるため、人によっては後味の悪さを味わうことになるかもしれません。

最後に

パラダイスキラーは、ゲームというメディアの特性を非常に上手く活用できた作品だと考えます。これが小説だった場合には世界設計の説得力が足らず、動画の場合には探偵としての捜査と思考の醍醐味が失われます。世界の探索と対話、推理を自分のペースで進めることでこの体験の価値は一番高まっているように感じました。
全く新しい世界を受容する点で他のゲームよりプレイ時の疲労が強く出るかもしれませんが、絶対にその価値はある作品だと感じます。2日休みがあればクリアできるであろうボリュームなので、あまり間を開けずプレイすることをオススメします。

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