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【口が裂けても言いたい話】「多様性とはこういうことか」

映画「スーパーノヴァ」をAmazonプライムビデオにて鑑賞。ピアニストと作家。異なるバックボーンを持ちながらも強く惹かれあうゲイカップルが選び取る運命についておさえたユーモアとともに描いていく。

ある日、ふたりは旅に出かけていた。それは繊細な感性を持つ作家のほうが強く望み、計画した決意の込められた旅であった。旅の途中、ふたりは幾度も笑い合い、人生観をぶつけ合うが、やがて彼らの旅は、作家が望み、ピアニストが恐れた結末へと導かれていく……。

「彼らはゲイカップルである」

ストーリーの重要な骨子であるはずの要素をあっさりとスルーしているところに、本作の特徴がある。愛し合う当人同士はもちろんのこと、彼らを取り巻く周囲もまた同性愛というファクターはすんなりと受け入れており、その部分に関しての葛藤や衝突はほとんど描かれない。

これが日本の作品であれば、彼らがカップルとなった過程を深く描くために多くの時間を割き、センセーショナルなメッセージへと仕上げることだろう。

しかし、そんなありきたりで、ある意味において陳腐な筋立てを本作は許さない。映画の本筋は作家の彼が抱える「ある重大な秘密」へと収斂され、そして、やるせない悲劇へと展開していく。

名優ふたりの落ち着いた演技が堪能できる意欲作。ラストシーンが果たして何を意味するのか。それは、映画を観てから判断していただきたい。

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