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氷点の水底(完)

こんにちは目箒です。

「氷点の水底」完結しました

こちらの教育によろしくないメンズラブが完結したのでまとめに入ります。カクヨム換算で59,414文字。頑張った。お疲れ。>自分

ちなみにカクヨムは6万字以上じゃないと新着の完結一覧に載らないので本当はもう少し水増ししたかったんですがちょっと無理でした。

まあ畳みたかったと言うのも大きい……。

途中で一回飽きたんですよね……。

上記含めた過去記事は「#氷点の水底」で読めます。

試し書きを流用しました

前回は男二人の間に高い壁を建て直すところで終わりました。

ていうか、ここまでの話は最終話のここを目指していたので、最終話についてはほぼこれを流用しました。

その上で、途中途中で色々挟んだ中堂の葛藤だとかを清算するために、

「考えました。俺たち、ちゃんと名前のある関係を持つべきだと思うんです。今のこの宙ぶらりんじゃなくて。ね、中堂さん。中堂さんは神谷さんの事が好きなんですか?」
「は!? 何を言うんですか、いきなり!」
「俺は真面目に聞いています」
「……好きだったのだろうとは思います」
「今でも?」
「今は……どうなのでしょうね」
「俺のことはどうですか?」
「どうって……」
 なんでそんなことを聞くんだ。どう答えろと。
 でも、答えは出ている。心臓が不愉快でなくどきどきしている。顔が熱い。小田桐の内面の熱に焼かれている。
「……」
 ただ、その一言を言うのはとんでもなく勇気が要った。こないだまで15も年上の男に囲われていた42歳の男が、若い男に言う台詞か?
 でも、言わないといけない。ずっとそうやって目を背けていた。背け続けて何も言わなかったから傷つき続けた。ずっと考えることを拒絶して、ここまで来ている。

普通は人間変わらないですよ……でもこれはお話なのでちょっとくらい人間に夢を見たって良かろうと言う事で、

「あー! もううるさいな! 好きですよ! 私の彼氏になれば良いって思ってますよバーカ!!!! 毎日私を好きって言え!!!!」
 子供みたいなことを言った。
「馬鹿みたいだ! 私ばっかりいつも我慢して! 神谷さんだって自分勝手で、わ、私の気持ちなんて考えなくて、だから私も考えなくていいやって、だから小田桐くんのことだって考えたくなかったんですよ!」
 支離滅裂なことを言っている自覚はあったけれど、それは紛れもない本心で。
「それなのに小田桐くんが考えろってずっと言ってくるじゃないですか! 言葉じゃなくて、態度で! 私と真剣に付き合おうとするから私だってこんなに考えるハメになったんだ! だったら私の望みを聞いて下さいよ! 私はね、君を手放したくない! 独りにされるのはもうまっぴらです!」

中堂って頭は良いんだけど、自分の感情を受け入れる器が脆いんだよね。

心の叫びです。ないがしろにされて辛かったって言う。

という事で二人はめでたくくっつきました。

エピローグがある

 翌年。1月2日。
「帰りました」
 数日ぶりに聞いた小田桐の声に、中堂は立ち上がって玄関まで出迎えた。実家に帰っていた小田桐が、こちらに戻って来たのだ。どうやら病院薬剤師と言うのは年末年始も出勤するらしく、小田桐の出勤は明日3日なのだそうである。
「お帰りなさい。ご実家はどうでした?」
「いつも通りでしたよ」
「私の事はなんて?」
「紆余曲折を経て中堂さんと付き合うことになりました、という話はしました」
「驚かれませんでしたか」
「紆余曲折の中身を聞かれましたがぼかしました」
「そりゃそうです」
 中堂の暴力から始まったのだから。今でも、小田桐が絆されたのではないかと中堂は思っているが……小田桐がそう言う意味で目が覚めてしまったらそれは自分の落ち度として受け入れるつもりでいる。

この話が中堂の暴力から始まったということは以前の記事でも言及していて、なおかつ本編でも「これは本来なら通報案件だ」ということには触れています。

なので、それをうやむやにして終わりたくないと思いました。

ただ、そう言うことに向き合えるようになったのは間違いなく中堂成長してるな~と。

 本当にこれで良いのかという迷いがないわけではない。けれど、中堂は小田桐が許してくれる間は、小田桐の持っている欲しいものに対して「欲しい」と口にしようと決めた。それをしなくて彼を振り回していたから。
 多分、この関係にも終わりは来るのだと思う(終わりから考え始めるのが自分の悪い癖だ)。けれど、何にでも終わりはある。
 終わった時に、やることはやったと納得できるように。
 小田桐にも納得してもらえるように。
 そうやって過ごしていくことが誠実さだと思うことにした。

人間関係に正解はありませんが、少なくともきちんとコミュニケーションを取ることは大事だと思うので、ひとまずこの二人……というか中堂の着地点はここです。まあ小田桐はずっと話し合おうって言ってたんですけど。

完結してみて

本当はもう少し練るべきだったのかな、と思ったんですけど、何て言うか「早く畳みたかった」こととか「折角試し書きまでしたんだから意地でも終わらせたい」と思っていたこととか、最近「事件が解決すりゃいいんだよ!」と開き直ったこともあって後半は割と駆け足だったかな……と。

やっぱり中編すら向いてねぇ気がしてきた。しばらく短編で大人しくしてます。

おまけ 「氷点」はBLかヒューマンか

何て言うか、あまりにも「社会とは……人間関係とは……暴力とは……」という事に気を遣いすぎたせいで「これのジャンルはどこ……?」という迷走に一時期陥っていました。これ、BLを求めてる人には面白くなくない? と。

という事をフォロワさんになにげなく溢したところ、

「ハプニング同居+肉体関係から始まってくっつくと言うのは、読み手がBL的な前提を持っていないと受け入れるのは難しいのではないか」

というすごい指摘を頂きました。

骨格というかフレームというかパッケージとしてはBLになるのか……はは~ん……。

今後ジャンル決めるのに指針になりそうな考え。

ではまた。読んでいただいてありがとうございました!

これはとても真面目な話ですが生活費と実績になります。