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【伊坂幸太郎「逆ソクラテス」】――小学生たちが描く新しい世界

伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」は、全ての主人公が小学生という短編集です。この本では、小学生たちが自分たちの考え方や行動で、先入観に囚われた大人たちに対して挑戦します。それぞれの物語は、現実社会におけるさまざまな問題や矛盾に目を向けさせてくれます。

例えば、「逆ソクラテス」では、カンニングをした少年が、教師やクラスメイトに対して自分の行動の正当性を主張します。彼は、試験制度や教育システムの欠陥を指摘し、自分の知識や能力を問われることに抵抗します。
この章では、私たちが普段当たり前だと思っていることに疑問を投げかけてくれます。試験は本当に学力を測るものなのでしょうか?成績は本当に人間の価値を決めるものなのでしょうか?私たちは本当に自分の考え方や行動に責任を持っているのでしょうか?

「非オプティマス」では、最優秀な成績を取ることに執着する少女が、自分の能力や価値観に疑問を抱き始めます。彼女は、自分が目指すべきものや幸せとは何かを見失っていることに気づきます。
この章でも、私たちが普段目指していることに意味があるのかどうかを問いかけてくれます。最高の成果を出すことが本当に大切なことなのでしょうか?最適な選択をすることが本当に正しいことなのでしょうか?私たちは本当に自分の思考や感情に正直に生きているのでしょうか?

「アンスポーツマンライク」では、ミニバスケットボール大会で敗れた少年たちが、勝ち負けだけではないスポーツの楽しさや意味を見出します。彼らは、自分たちのチームワークや努力を誇りに思い、相手チームや審判に感謝します。この章は、私たちが普段忘れがちなことを思い出させてくれます。勝つことが本当に目的なのでしょうか?負けることが本当に悪いことなのでしょうか?私たちは本当に他人と協力や尊敬を持って接しているのでしょうか?

このように、「逆ソクラテス」は、小学生たちが描く新しい世界を通して、私たちに多くの気づきや学びを与えてくれる本です。伊坂幸太郎さんらしいユーモアや緻密な構成も楽しめますし、他の作品とのつながりも発見できます。
読後感も良く、勇気や希望を感じることができます。この本を読んでみて、あなたも小学生たちのように、自分の考え方や行動に責任を持ち、周囲の人々に影響を与えていく人間になりたいと思いませんか?


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