「アトムの人形 ~ 4年前の日記より」
令和2年 2月24日 月曜日 振替休日
ほんのさっきまで、今日は普通の月曜日だと思っていた。TVで「連休最終日」と言っていたので確認してみたところ、昨日が天皇誕生日だったことを知った。
今上天皇とは、歳が近い。
僕が幼かったころ、徳仁天皇も幼かった。
その昔、浩宮様のことを心底羨ましく思ったことがある。
TV番組で、東京タワーにて開催された鉄腕アトムに関するイベントのことが報じられていた。その催しを宮様が観に行かれ、終了後、使用されたアトムの人形をプレゼントされたという場面が映し出されていた。
幼かった僕には、それが天上的に羨ましく、宮家に生まれなかったことが悔しくて、父親にこんなことを言った記憶がある。
「皇室に生まれたかった」
単に、アトムの人形が欲しかったという単純な理由からである。
「羨ましいと思うかもしれないけど、皇室は大変なんだよ。普通の家に生まれたほうが、ずっと良かったと思う時がくるよ」
その数年後、ちょっとだけ分別がついた頃、このことを思い出して、ふと思った。
― そのとき父はどんな気持ちだったんだろう ―
幼児期から脱したばかりの少年だった頃、少しばかり胸を痛めたものだ。
さらに時を経た現在では、幼子の他愛ない我儘を、微笑ましく見ていただろうと、容易に察しが付く。
父亡き今、そういった父に繋がるエピソードすべてが、ただ懐かしい。
ところで、あのときのアトムの人形、その後どうなったんだろう?
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