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2024/01/13 sat. 本屋

たまに、ふと本屋でバイトしていた頃のことを思い出すことがある。この前は自宅で食器を洗いながら思い出した。

本屋バイトに長いシフトで入る時、お昼に1時間の休憩をもらえたので、休憩室で自作のお弁当を食べることが多かった。当時の私は実家住み・週に3日程度の本屋バイトをしているだけのフリーターで、実家にお金を入れているわけでもない人間だったので、せめてもの気持ちで家事手伝いをしつつ、いつか実家を出る時には役立つだろうと、料理を覚えるべく、なるべくお弁当は自分で作るようにしていたのだった。
勤めていた本屋の店員は社員・パートの人・大学生バイトが多く、朝のシフトはパートの人、夜のシフトは大学生バイトが占めるような感じだった。フリーターだったのは多分私くらいで、朝のシフトに入ると、昼休憩はパートのおばさんと一緒になることが多かった。自分の母親より年上に見えるその方は、息子さんが私と同年代の大学生らしく、いつも手製の弁当を持ってくる私を見ては息子さんと比較して「お弁当作って偉いわねえ、うちの息子にも見習わせたいわ」というニュアンスのことを言ってくれていた気がする。
私はにこやかに謙遜していたけれど、フリーターになる前は予備校不登校浪人引きこもりニートの末に自殺未遂してICUに入院していたどうしようもな人間だったので、健やかに生きて大学生している息子さんの方がよほど親孝行だと思ったりした。


稼いだバイト代を実家に入れることもなく、とりあえず社会復帰したくてバイトを始めて、バイト代で会いたい人に会いに行く生活。今思えばあのモラトリアム的な時間は自分にとっては結構大切だったし、いい経験だったと思う。
単発バイト以外でしっかりバイトしたのはあの本屋が初めてだった。

本屋を選んだのもよかった。
幼い頃から本が友達みたいなところがあったし、本屋で働くと社割で本を購入出来る。それに本屋で働く人に悪い人はいなかったし、客層も割と限られてくるので、接客に苦労することもなかった。

たまに、今の仕事をあぶれたらどうしようと考えることがあるけれど、その時はまた本屋でバイトするのも悪くないのかもしれない。

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