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ブランク明けの中堅ナースが、質問しまくる〜Inquiryを組織風土に〜

留学を経て2年ぶりに常勤看護師としてベッドサイドに戻った。

追いつくのに毎日必死。

そして、同じくらい、入職して2ヶ月めの新人さんたちもヒーヒー言いながらくらいついている。2年目の後輩たちも、OJT担当をしながらヒーヒー頑張っている。

ブランク明けの私がまず取り組んでいること

ブランク明けは正直自分のことで精一杯で、教育のことなんて考えていられない。でもそれじゃあ、こんなにもたくさん濃密な留学で培った知識や経験をまるで活かせないじゃないか、と思っていたのが最初の1週間。

でも、考え方を変えてみた。

ブランク明けの私だからできること。

どんな形で周りに少しでも新しい風を吹かすことができるのか。

ようやくたどりついた一つの答えは、

質問しまくること」だ。

私はストレートで現場にいれば今年で看護師6年目となる。

もう看護界ではがっつり中堅の仲間入り。

実際、私は今の病棟で上から数えたほうが早いくらいの立ち位置になってきた。つまり、私より後から入ってきたスタッフがたくさんいる。

その人たちから見たら、留学前に日勤・夜勤リーダーをやっていた私はいわば「デキる先輩(実際は置いておいて笑)」に見られてしまう。

そんな私が今やっているのは、不安や自信がないことはとにかくどんなささいなことも先輩や後輩に聞きまくること。

「◯◯さん、この波形の読み方ってこれであってますか?自信がなくて、、」

「患者さんが▲▲な状態なんですかちょっと一緒にみてもらえますか?」

「この患者さんの指示について相談してもいいですか?」

これには実は、二つの狙いがある。

①質問のハードルを下げる

たぶん、留学前の私だったら「今更こんなこと聞けないし・・・」って確認をためらっていた変なプライドがごっそり消えて、今はもうただひたすらに「わからないので教えてください!」「できないので一緒に確認してください!!」と素直に質問・お願いできるようになった。

すると、きっとその姿をみている後輩たちが

えっ、こんなことまで聞いていいの?先輩が聞いているなら私も・・・」と、がくんと質問することへのハードルが下がるのを期待している。

たとえばこんなかんじ

「あの、円背の患者さんの体位変換するときのコツがわからなくて・・。私がやるとすごい痛がってしまったのに、◯◯さんが手伝ってくれたときは全然痛そうな顔をしなくてなんでだろうと思って。コツ知りたいです!」

そして、先輩がベッドサイドで円背の患者さんに負担がかからない体位変換法をレクチャーしてくれた。

その後、新人さんがちょこちょこっと私の元へきて、

「あの、、さっき寺本さんが◯◯さんに聞いていたこと、私もよくわからないので教えてもらえますか?」と言いにきてくれて、

心のなかでよっしゃよっしゃとなった。

探究心の連鎖をどんどん生み出していきたい。

②「言語化して教えること」が互いの学び直しになる

こんなこと書くと非常に偉そうな言い方になってしまうのだけど、

先輩に質問をして言語化して教えてもらうことで、実はお互いの学び直しになる。

やっぱり、ブランク明けの私の質問はある程度の知識はもったうえで、「ここってどうしてこうなんだっけ?」という微妙に上級レベルの質問になるので、一緒に考えてもらえることが多い。

そして2年目や3年目の後輩にもガンガン、「これってなんでこうなんだっけ、、」みたいに相談していくと

「えっとこれはですね・・・」と一生懸命助けてくれるのがとてもありがたい。「私ももう一回ここ不安なんで確認しておきます!」と言ってくれたり。

体感、質問しまくることで上にも下にもちょっと新しい風を吹かせている感覚がある。

よく、新人教育で言われがちなのが「もっと質問をして、なぜこうなのか?って思って」というお決まりのフレーズ。

でも、これには

①質問しやすい環境がある

②質問の適切なタイミングがわかる

③わからないことがわかる

という3拍子が揃っていなきゃいけなくて、これは案外ハードルがとても高い。だからこそ、ここぞわしの出番や!ということで

①質問しやすい環境をつくる

②見本の質問の仕方を見せる

③探究心の連鎖を生み出す

とそれぞれアプローチができるのではないかと試行錯誤している。

Inquiry と Organizational culture

実は、「質問すること」はまさしく成人学習だ。

大人は経験があるからこそ、「わかっていなければいけない」と思い込んでしまう。

こんなに経験しているのに、これがわかっていないのは恥ずかしい。これを知らなかったら馬鹿だと思われてしまう。

そんな思いにがんじがらめになってしまって、結局気づいたときには手遅れになってしまう、なんてことも。

だからこそ、私のようなひとががんがん質問をしまくり、がんがん「わかりません」と素直にSOSをだすことで、ほかの人たちが少しでも質問しやすい気持ちになれるなら、と思う。

成人学習で大切なInquiry(問いをたてること)がだんだんとOrganizational culture (組織文化)のなかに埋め込まれていくのが狙い。

聞くことのハードルを、上の世代がぐんと下げること。

問いをどんどんたてること。

探究心をもつこと。

自分はわかっていなければいけないという、まとっていたプライドを脱ぐこと。

中堅ナースとして、そんな姿を上にも下にも見せていけたらと思う。


まぁ、毎日ヒーヒー必死なんですが!!!

今日も走る、走る!!!





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