なぜ「根拠は?」と言われていたのか ~アージリスとシングル・ダブルループラーニング~
Organizational learning とは
Organizational learningという分野があります。
私が所属する学部はOrganizational & Leadershipということでおおもとは組織学&リーダーシップ学科に所属しています
なので、授業でも組織学やマネジメント、人材育成を幅広くカバーしています
今回はOrganizational learningで名前を知らないひとはいない、というような有名な方をピックアップしました
その名も、Chris Argyris (クリス・アージリス)。
シングル・ダブルループラーニングとは?
この優しそうなおじいちゃんがクリス・アージリス。
わたしの祖父に似ています。笑
ハーバードのビジネススクールで教えていたビジネス理論家で、
残念ながら2013年に亡くなってしまいました。
数々のビジネス、組織学関連の理論を世に提唱しており、わたしもまだ一部分しか学べていません。
アージリスは Harvard Business Review史上最も有名といっても過言ではない、Teaching Smart People How to Learn の作者でもあります。
実はアージリスの原著はかなり難解でした、、
自分、ばかなのかしら、とちょっとへこむほどこの概念を理解するのに苦労しました
それが、アージリスさんがショーンさんと共同で提唱した
Single loop / Double loop learningという概念です
画像出典:https://www.google.com/search?q=single+loop+double+loop+learning&rlz=1C1EJFC_enJP808JP812&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=2ahUKEwj8qcHn8MjwAhVRE6YKHbmOADEQ_AUoAXoECAEQAw&biw=1280&bih=521#imgrc=ke3E-ELAGSAP9M
そして日本語訳は・・・
(画像出典:https://heart-quake.com/article.php?p=765)
いや、これだけ見てわかるはずがない!
改善と改革ってなにがちがうんだー!ちゃんと説明しろー!!!
ですよね、ですよね、
わたしもそうでした
よく使われる事例は、釣りの例なんですが、
釣りにいって魚が全然釣れないとします(results 結果)
シングルループ学習は一歩さがって、
「えさを変えてみよう!」「釣り道具がわるいのかな?」と
行動やテクニックに問題があるはずだと「行動を改善」することです(strategies and techniques)
いわゆる problem solving で問題を解決することにフォーカスをした学びです。
そして、さらに一歩さがって
「いやいや、そもそもこの場所が釣れないのか?季節はどうか?なぜ、今日ここで釣れると思ってここに来たんだろう?」と前提としてある「なぜ」や「なに」を問うことがダブルループラーニングです。
これがいわゆる日本語訳でいう「改革」です。
「2歩さがって、背景にある前提を問う」ということが肝になります。
毎日あたりまえにやっていること。
組織のなかであたりまえに風習や習慣としてやっていること。
「そもそもなぜそれをやっているのか?」と聞かれたときに
答えることができますか?
看護師でいえば、「根拠は?根拠は?」と(しつこく)聞いてくる指導者さんや先輩は ダブルループラーニング を促しているのです。
(無自覚かもしれませんが)
経験年数が浅いほうがダブルループラーニングに気づきやすい
看護職に限らず、皆さんも働いているなかで入ってきたばかりのチームメイトに
「先輩、これってなんでこうなんですか?」
とふいに聞かれてどきっとした経験、ありませんか。
クラスのディスカッションのなかででてきたことなのですが、
experienced な人ほど **Because we do like this **(だって、こうしているから)と前提を問うことが難しくなってしまいます
その組織に長くいたり、風土が浸透していると
無自覚でやっていたりする。
そうすると、シングルループのみでもう一歩下がることがやや難しくなってしまいます
「2歩さがってreframeする、全体を問い直すこと」
これこそがダブルループラーニングです。
ダブルループラーニング、やりすぎると・・・?
ただね、これも授業のディスカッションでもあがったのですが、
「そもそも~」って口癖のようにいうひと、周りにいませんか?笑
そもそもなんでこれはこうなんだろう、そもそもこれはこれでいいのか?
います、いますよね、、、、
JKから「メンディー」といわれてしまうようなひと。 (面倒くさいという意味らしいです笑)
だからダブルループラーニングはもちろん大事ですが、やりすぎは敬遠されてしまうので注意かもしれません。
シングルループラーニングももちろん大切です。
緊急時、急いでいるとき、必要なのは「改革」よりも「改善」です。
ただ、その場その場で「改善」ばかりに注目してしまうと行き当たりばったりな考え方、修正しかできていないので永遠に問題は解決しません。
アージリスのダブルループラーニングを使って、
いまあたりまえにやっている行動を「そもそもなぜだろう?」と問いかけることからはじめてみたら、新しい発見があるかもしれません!
原著からここまで理解するのに、かなり苦労しました笑
グループディスカッションが活発なおかげで、本からでは学べないようなことを学べています。
きっとまだわかりきっていないこともあるので、学び次第追記していきます。
(実はさらに一歩さがっる Triple Loop Learning トリプルループまであるのですが、今回は「5分」経過してしまいそうなので、割愛します笑)
参考文献
Chris Argyris. (1991) Teaching smart people how to learn. Harvard Business Review.
Chris Argyris. (2014). Theories of action, double-loop learning and organizational learning. Infed org.
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