見出し画像

【感想】おかえり 寅さん


※この文章には「男はつらいよ おかえり 寅さん」(2019)のネタバレが含まれています。ご注意ください。



ある日曜日、BSで「男はつらいよ」の新作
と言っても2019年の作品だが、放送された。

私が小さい頃からいつの間にか、たまにやっている「男はつらいよ」シリーズ。
その50作目を作ると聞いた時には「寅さんは誰がやるんだ?」と思っていたが、
そこはやはり、素晴らしい。

寅さんが実際にそこにいなくても、何年の時を経て彼らの心の中にしっかりと存在していた。
思い出を語り合ったり、シリーズの回想シーンで若々しく活躍する渥美清さんにまた会うことができた。
それは一人の寅さんファンとしてとても嬉しかった。

そして、この作品に登場する吉岡秀隆さんが演じる満男さんがいい味が出ていた。

当時恋焦がれていた彼女とは別の人生を歩み、
偶然再会し、3日間の夢。

共に歩んだ日々があった人と、全く違う別々の道を歩く。
彼は彼の幸せがあり、彼女には彼女の幸せがある。
それは変えられない現実。
彼女が今の幸せを壊して満男のもとへ行く。
なんてラブロマンスのような展開にはならず、

彼が現実に戻った時、
娘が最後に心が遠くに行ってしまっていた彼に「おかえり」と言った。
(この娘もとってもいい子だ)


たったの3日間だったが、彼らは当時を振り返りながら大切に思い合っていたに違いない。


そして、満男が時折思い出す寅さんの姿。

満男が本当に焦がれていたのは、彼女だったのか、寅さんだったのか。

人生の分岐点には寅さんのような道を照らし、背中を押してくれる存在がいたらいいのかもしれない。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?