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新しいスポーツ・文化の世界が創られるとき【吉良式発想法&視点】

どうもどうも、吉良です。

コンピュータ・ゲーム関連の日本最大級の展示会である「東京ゲームショウ2021」が明日(9/30)からオンラインで開催されますね。これに向けて、9/26(日)に日本経済新聞で人とゲームの新たな関係性を考える企画、「Change the Game」vol.7のマンガデザインが掲載されました。

僕の著書「広告0円」内のメディアの歴史と東京ゲームショウの歴史をオーバーラップして制作しています。

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(2021年9月26日 日本経済新聞 掲載)

今回はこのようなゲームをはじめとする文化やスポーツの新たな潮流について書いていきます。

東京2020オリンピックによってサーフィンやスケートボード、スポーツクライミングなどの新種目が注目されました。東京2020パラリンピックではボッチャやゴールボール等の特有の競技に目を奪われた方も多いのではないでしょうか。新しいスポーツへの賑わいが見えてきていますね。

文化の発展には伝統を守ることも革新的な変化を起こすこともどちらも重要です。私たちは新しく何かが台頭したとき、よく知らないから、見たことはないけど悪いイメージがあるからと言って拒絶するのではなく、その世界を知り、受け入れる気持ちを持つ必要性を強く感じさせられました。

そうしないと、よくて現状維持ですね。そして現状維持は俯瞰で見れば明白な退化に繋がります。少子高齢化により、いわゆる年配者が「昔は良かった」と語る時代からの脱却がまさに重要になっています。

例えば、今回のオリンピックをみるまで、スケートボードは不良がやるスポーツだ、怖い、などと悪いイメージを持っている方も多かったのではないでしょうか。それは、禁止されている路上で歩行者がいるにも関わらず滑っている姿を目撃したことがあったり、そのような危険な話を聞いたことがあるからかもしれません。

確かに道路を我が物顔で滑る自己中心的な方「も」います。
しかし、これ以外の情報がほとんどなく、スケートボードに情熱をかけ、周りに迷惑のかからない遠い練習場に行って毎日長時間練習している方「も」いることを知らずに悪いイメージを持ったのではないでしょうか。

【1】スポーツ面での変化

今回のオリンピックでのスケートボードにおける国籍・年齢・結果に関係なく常に相手をリスペクトし、笑顔でお互いをたたえあっている多様性を具現化したような姿は、ずっとサッカーをやり続けている僕にとって印象的でした。

戦いの舞台で火花を散らしつつも、終始和やかな空気の中で競技がおこなわれているように感じ、ラグビーのノーサイドの精神とも違い、これまでとはまったく違うスポーツだと感じました。

僕と同じように、スケートボード界の技術も振る舞いも素晴らしい選手たちを知り、スケートボードへの印象が変わった方も多かったのではないでしょうか。

また、スポーツクライミングの3種目におこなわれるリードの決勝では「オブザベーション」という登る前にコースを下見して、手順などを予測する時間に選手同士で登り方を話し合っている姿に衝撃を受けました。

これから戦う相手に気づいていない登り方を教えてしまっているかもしれないのに、とも思いましたが、競技中でさえもお互いを高め合い、万全な状態で正々堂々と実力を見せ合おうという気持ちが表れているのが最近の競技なのかもしれないと感じました。

また、今年(2021年)の第25回全国高等学校女子硬式野球選手権大会では、女子野球ではじめて決勝戦が阪神甲子園球場で開催され、神戸弘陵学園が高知中央高校を破り甲子園での初代女王に輝きました。野球は男のスポーツ、甲子園は男の聖地というような昔からの考え方も変わりつつあることがわかります。

【2】文化面での変化

文化面においても同様です。これまではマンガやゲームは娯楽と考えられ、勉強を阻害するものと考える方も多く、子どもの頃に親から制限を受けていた方も数多くいるのではないでしょうか。しかし、近年それぞれの印象にも大きな変化が生まれてきました。

マンガはSNSや無料で投稿や閲覧ができるサービスにより幅広い人々にとって身近なものとなりました。ゲームもeスポーツ等への注目が集まり、オリンピックの公式競技として扱われるeスポーツイベント「Olympic Virtual Series」が2021年、東京2020オリンピックより前に開催されました。

教育分野においても、マンガやゲームに関連する学科が次々に生まれ、専門学校や大学でもこれらの世界を学問として学ぶことのできる環境が広がりつつあります。僕が教鞭をとる大阪芸術大学はまさにその中心にいます。

マンガデザインも狭き門である漫画家を目指す学生が漫画家以外の道でも活躍できる世界を創り出したいと考えて生み出した経緯があります。
これまでの娯楽・遊びでしかないという固定観念を捨て、僕自身が率先して、新しい世界で夢をかなえようとする人々を応援し続けています。

【3】好きなことを追求する皆さんへ

日々変化する環境下で、新しいスポーツ・文化の世界を目指している人、関わりを求めている方をはじめ、自分の好きなことを新しい世界として追い求めている皆さんに僕が伝えたいことが2つあります。

まず1つ目は自分の好きなことで叱られるな、ということです。

授業中に単行本を読んだり、スマホのゲームをしたり、授業と関係のない絵を描いたりして、先生に叱られない、やってはいけない場所でスケボーしない、決められた規則など当たり前のことを守ったうえで努力することが皆さん自身の活動を応援してもらえる基盤をつくる近道です。

2つ目は、胸を張って自分のやっていることを話せるようになってほしい、ということです。

周りが自分がやっていることに良い印象を持っていないと感じているとしても、自分がこの世界を変えるという気持ちを持って誠実に誇りを持って取り組むことが重要です。自分がその世界を信じなければ、周りがその世界に良い印象を持つことはありません。

かつて、大阪芸術大学の講義中にマンガの学科の学生達に『「大学で何描いてるの?」と質問されたらなんと答えるか』を聞いたところ、200人の受講生の90%以上の学生が「絵を描いている」と答えました。

『なぜ胸を張って「マンガを描いてる」と答えないんだ、マンガを描く事に何か後ろめたさでもあるのか?マンガの学科に入学した君たちが胸を張って「マンガを描いてる」と答えない限り新しい文化は生まれないよ!』と伝えて以来、少しずつ「マンガを描いてる」と答える学生は増えましたが、まだまだ物足りません。

まあ、マンガも絵の一種だと言ってしまえばそうでしょうが、マンガを読み、描くことが勉強と捉えられなかった歴史はそう簡単に変わらないということを実感しました。それでも僕は時間をかけてでも変える努力をし続けます。

マンガやゲームの世界は、今まで対話が苦手だった人のコミュニケーションのきっかけとなったり、障がい者、自閉症の方の新しい働く場所となったりと現代の問題解決にもマッチしています。

マンガデザイナーズラボでは、このような世界を紹介し、応援するために日本経済新聞とともに冒頭でもご紹介した「Change the Game」企画を3月からおこなっています。こちらは第2回目の「ゲームとコミュニケーション」をテーマにしたビジュアルです。

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(2021年4月25日 日本経済新聞 掲載)

新型コロナウイルスの影響もあり多くの変化や新しい技術が生まれる今、これまでの固定観念を捨てて考え方を変えるときではないでしょうか。
これから新しい物事に直面したとき、自分の思い込みにとらわれず新たな価値観を吸収することで世界がより楽しくなり、皆さん自身の成長にもつながると思います。

マンガデザイナーズラボもこのような新しい世界をこれからも応援していきます。

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