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詩のまとめです。暗いの多め。
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2014年6月の記事一覧

ヴェロシティ

ヴェロシティ

狂ったような夏が来て
僕を飲み込んでく白昼夢

爪の先から落ちていく感覚

少しだけ唄ったら世界が動き出して
僕だけ残して加速していく

伸ばした指先が空を切ったら、どこまでも沈んでいけるかな。
なんて夢想

色とりどりの光が尾を引いて流れていく
僕を置きざりにして走っていく

全てが遠くなるから、ぼんやり笑って手を伸ばした

(そしてやがて夢から醒める)

しずかなよるに

しずかなよるに

小さなゆりかごのなかで

君と手をつないで眠る

なんかい好きって云ったって

なんにもとどかないでとける温度

心地よくて目をとじた

ひかりなんてなかったけれど

そこはたしかに楽園で

体をよせあって眠る その

指先からとけてまざりあう

小さなゆりかごの小さなせかいで

眠り××

眠り××

さよならだけがすべての世界で

膝を抱えて優しい夢を見るよ

涙をなくした僕の上に

夜空だけをちりばめて

目が覚めたら君にまたあえるといいな

なんて

たぶん僕はまだ幻想の底で

雑踏

雑踏

雑踏の中の雑音
言葉にならない視線
夢に出てくるあの人の言葉
皆が皆僕を責めたてる

僕の周りの人が歪んでいくのは
僕が馬鹿で弱くて卑怯で不真面目だかららしいです

ちゃんとしろよ

ちゃんとしろよ

ちゃんとしろよ

うるさいうるさいうるさい

なによりも絶望しているのは僕自身だっていうのに

僕なんて死ね

或る夏の日

或る夏の日

螺旋階段駆け上がって
青い空まで一直線

鳥みたいに上手くは飛べないから
今度は地面へ一直線

世界はモノクロ青と白
かみさま、僕は泣きません

空白

空白

密やかに密やかに
剥離していく感情
僕は鍵盤に手を置いたまま、
無駄な思考を繰り返す

硝子越しに君の横顔
声も出せない僕は
視線だけで輪郭をなぞる
冷たい鍵盤
ピアノの音は鳴らない

怖いことが
たくさんあった気がした

今はただ、空洞ばかりだ

ハレー

ハレー

いつだってひとり、
輝きながらとんでいくよ

加速して 加速して あざやかすぎる黒のなか

泣きながら、いつか消えてなくなってしまうまで

ほら 抱えた君の声がながくながく尾をひいていく

ねぇ、君のばしょから僕のことが見えたらいいのに

からっぽの陰極

からっぽの陰極

部屋を飾ろう
水銀灯を吊るしてさ
きっと終焉は華やかだ

鉄とガラスと石の街から望遠鏡で君を探すの
逆さまの月
希望を喰べて笑ってた

冷たい汽笛 最終列車
空へ向かって走っていく
ポケットは空のままだから 汽笛に向かって手を振った
列車は群青に溶けていく

君はきっと乗っていたんだろう
望遠鏡じゃ見えないとこへ行くんでしょう
僕を忘れて 全部忘れて

だから さあ 部屋を飾ろう
水銀灯はゆらゆら

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夏宵

夏宵

夏の夕暮れ
ピアノの音が流れてくる
僕はひとりここに立って
少しずつ、少しずつ言葉を紡いでいる

温い空気がまとわりつく
君の姿を探すけど
宵闇にまぎれて見つけられない

ピアノの音は止んだ
ここには誰もいない
体に闇が忍び込んでくる
紡いだ言葉たちも何処かへ消えた

ころころと
君の笑い声

ねえ、どこにいるの

ころころと
いつまでも
いつまでも響く

僕はひとり

ずっと、ひとり

蝉時雨

蝉時雨

遠くで蝉の声が響きわたる
部屋の底に沈んでねむる
なにもわかりたくなんてない
ぼんやり君の夢をみてた

ここはうすぐらい
外には炭酸のひかり
窓をあけたらきっと窒息してしまう
天井で影がゆらゆらとゆれる

羽化することのなかった虫
地面の底で夢を見る

外ではみんなが死んでいく

悲鳴みたいなうたがきこえる

僕はまた目を閉じる

夢の島

夢の島

僕を突き刺す午前の雨
まっしろい太陽はまだのぼらない

どこまでも異端
それが僕の烙印でした

異質なものは排除する
それが世界のルールでした

歪んでいるのは世界じゃなくて僕だった
って
気づくのが遅すぎたかなぁ

空が少しずつ明るくなって

もうすぐ優しい雨があがるから
焼けつくような太陽がのぼるから

さよならって、

手を振って。

きらめくせかい

きらめくせかい

きれいなものだけ君に見せたくて
きれいなものだけかきあつめようとしました

きれいなものだけ君にあげたくて
ああ、じゃあきたない僕はいらないじゃないかって
気づいた日のこと

あたりにはかきあつめたきれいなものが散らばっていて
僕だけがただきたなくて
そこは僕がいなくなることで完成するせかいでした

なみだなんてでなくって
あげられるようなことばもなくて
しかたないからただわらいました
そして僕は

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楽園シンドローム

楽園シンドローム

あの頃はまだ
世界は僕そのものだと思っていた

楽園シンドローム
ゆりかごで夢みるこどものように

いつのひかかみさまはいなくなった
きらきらとひかる視界
くずれる世界は美しいと思った

そして自由を手にした僕は立ちつくす

空と空虚

空と空虚

広場の真ん中
上を見上げて雲をなぞる
どこまでも透明な空
僕たちはどうしようもないくらい非日常を探している

ゆらゆらと揺れる灯り
手探りで見つけたらすぐに隠そう
薄ぼんやりとした灯は僕を不安にさせるから
誰にも見つからないように

恐怖は無機質な仮面を被って
少しずつ、少しずつ神経を齧っていく
僕は君の手をつかんで
深く深く潜っていく

一番底まで辿り着いた
僕たちは空を見上げて

ああ、神様、