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男おしんと呼ばれて

母方のばあちゃんが父の生い立ちを知ってから、父に付けたあだ名が「男おしん」でした。

父は田舎育ちで、兄や姉も沢山いました。小学生の頃にはすでに、兄や姉たちの子供の面倒を見ていたそうです。ねんねこを着て、赤子を背負う父。

夏休みになると、口減らしのために親戚の家に預けられたそうです。そこでも、子供たちの面倒を見る父。親戚の家に置いてもらう以上、働かなければなりません。野良仕事や家事も自然と上手くなります。

ある時など、父は祖父に「養子に行かないか?」などと言われてしまったそうです。父の姉のうち、数人が養子に出されましたが、1人は逃げ帰ってきていました。

養子の提案を断った父。もしあの時養子に行っていたら、今頃お金持ちでした(笑)。でも、父は何の後悔もしていないようです。

そんなわけで、父は母よりも母らしく、家事や料理、子守も大変上手なのでした。

そんな父が、若い頃抱いた夢が、「一人になりたい」でした。

でも、何故か母が降ってきて(笑)、不器用で気性の激しい母の面倒を見る人生がスタートします。家の中は、まるでジェットコースター状態。

でも、苦労して身に付けた謎の能力を駆使して、ここまで上手く家庭を運営してきたのでした(笑)。

あの気難しい母が、父に感謝の気持ちを表わすまでに・・・。

父の人生は、ずっと人の面倒を見てばかりです。

父に「ばあちゃんが、男おしんとか言ってたで」と言ってみたところ、

「あんまり、いいあだ名じゃないなぁ」と笑う父。

それでも運命を受け入れ、父は淡々と生きていくのでした。

ちなみに、父に母についての感想を尋ねたところ、

「お前も、お母さんのおかげで、楽しい人生が送れるやろう?」

などど言われてしまいました・・・。

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