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感動的でない帰省

私の母は、他人の目をほとんど気にしません。

親に捨てられて、過酷な幼少期を生き抜いて来た母は、悟っていました。

「この世に凄い人間など、ほとんど存在しない!」

「そんなヤツらの言う事で、自分が傷付くなど、アホらしい!」

「誰も、私を不快な気持ちにさせる事など、できはしない!」

母の実母は、気にしていました。

実家に帰って来る娘(母)が、ボロボロの服を着ている事を…。

「あそこの家の娘は、落ちぶれた!」

近所の人達から、そう言われるのを気に病んでいるのです…。

しかも、父や私までもが、イマイチな格好。

母は、実母に向かって言い放ちました。

「私ら、ボロは着てても、心は錦!」

「お母さんみたいに、しょうもない事、気にせんのじゃわ~!」

これを聞いた父は、苦笑い…。

「あれっ、ウチら、タダの怠け者やなかったと?」

特に偉大な信念など抱いていなかった父と私は、母の迫力に圧倒されっぱなし(笑)。

母の説教を、ヘンテコな表情で聞く祖母。

我関せずの、ロクでもない祖父。

家族の思いは、バラバラ(笑)。

「そんなんやから、お母さん(祖母)、いつまで経っても、幸せになれへんのやで!」

「せっかく子供が帰って来とるのに、もっと気持ち良く迎えられへんのか?」

そんな捨て台詞を吐いて、実家に上がり込む母。

「お義母さん、すみませんね…」

何故か、謝罪しながら母に続く父。

これに対して…。

「アンタ、何、謝っとるんかっ!」

「もっと、堂々としときー!」

母の力強いお言葉が…。

母の帰省は、何かとお騒がせなのでした(笑)。


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