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狂った基準

会社の友人。

入社して以来、ずっと暗い表情をしていました。

ところが…。

「花甘露さ~ん!」

今日は、何だか嬉しそう。

余程、良い事があったのかと思ったら…。

「遂に、見つけたんです!」

「私達と同じ考えの人を!」

「ほら、いつもエレベーターで会う人ですよ!」

「あの人、最近まで、傷病欠勤してたそうなんです…」

「で、この会社に居たら病気になるから、早く辞めなさいって言うんですー」

「やっぱり、私達は、変じゃなかったんですよ!」

(あーあ…)

異常な会社で働くと、思考回路が狂ってしまうのでした…。

友人は超ホワイト企業から、この閉鎖的で奴隷の様にこき使われる、ロクでもない会社に転職して来ました。

ショックのあまり、精神状態がどんどん悪くなっていた彼女。

ここ最近は、とても近寄りがたいオーラを放っていました。

久しぶりに見る彼女の笑顔を複雑な心境で見つめる私。

そうこうしているうちに、社長からメールが…。

「皆さん、忘年会に参加して下さい!」

「私は、もっと多くの人達に感謝の言葉を伝えてたいのです!」

どうやら、忘年会の参加希望者が少ない模様。

(お手洗いに行けない程の量の仕事をさせておきながら、一体、何を言っているんだ!)

皆、大量の仕事を抱えているため、雑談も殆んどないのです。

急に、忘年会とか言われても困るのです。

しかも、この会社に長く残っている人達は、コミニュケーションが嫌いな人が多いのです。

普段から殺伐とした環境下に居る我々に、和やかな集まりなど、不釣り合い。

友人が、言いました。

「どんな高級な料理が振る舞われるとしても、私はあんなもの、参加しませんからね!」

「今まで、子供達と過ごす時間を奪われてきたのですから、年末は、家族で過ごします!」

社長は、豪勢な食事さえ振る舞っていれば、それで良いと考えているのか…。

(感謝の言葉より、給料を上げてくれ!)

まあ、私は今月末でこの会社を去るため、忘年会は不参加。

その代わり、来年から働く予定の会社の忘年会に参加することに…。

今度こそ、「普通の会社であってくれ!」と、切に願うのでした。

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