口腔ケアと認知症
「8020運動」という言葉をお聞きしたことはありますか?
「80歳になっても自分の歯を20本以上残そう」という運動で、平成元年に厚生労働省が推進した健康対策のひとつです。
そして今、「国民皆歯科健診」と言うすべての国民が生涯を通じて歯科健診を受ける仕組みがニュースで話題となりました。
お口の中の環境や歯周病が悪化すると、糖尿病、高血圧、脳血管疾患、心臓血管疾患、がん、認知症をはじめ、全身の病気の発症リスクが高くなることが多くの研究でわかってきました。
いつもは気づかないけど、身近にあるものが一番大事
一番大事なものはいつもあなたの側にそっと寄り添っています。
空気だって、海だって、汚れたら大変です。私たちは元気にしていられません。
お口も一緒ですね!
美味しく食べて、飲んで、歌って、おしゃべりをして、お口や歯は元気の入口です。
お口(口腔内や歯)が汚れたり、歯が無くなると…
お口の基本的機能は子供も大人も変わりません。
しかし、お年を重ねると大事な要素が少し変わったり、加わったりしてきます。
お口の機能が低下する
食欲が低下する
栄養不足傾向になる
誤嚥性肺炎のリスクが増加する
認知症のリスクが増加する
などの傾向が多く見られるようになります。
口腔ケアと認知症関係あるの?
認知症については多くの研究がなされていますが、ここでは歯科領域からどんなことができるのか考えてみます。
脳の器質的な認知症以外、特に「軽度認知障害」MCIと呼ばれる段階での口腔ケアはその予防や進行を遅らせるのにとても有用です。
認知症の治療や確立された予防法は研究途上ですが、統計的には歯がほとんどないのに入れ歯を利用していない方、あまり噛めない方、上手くおしゃべりできない方、歯科医院に足が向かない方などでは認知症の発症リスクが高いことがわかっています。
これらのことは、歯が健康な方、口腔内がきれい方ほど認知症になりにくい、ということが考えられます。
口腔ケアをきちんと行い、お食事をしっかり噛んで、味わい美味しく食べることは認知症予防にとても大切です。
口腔ケアの効果
🔹直接的効果
虫歯や歯周病等の早期発見、治療義歯の不具合の調整
口腔環境管理(歯(義歯)の清掃・粘膜の清掃・舌の清掃・頬のストレッチ・唾液腺マッサージ)
🔶間接的効果
栄養状態の改善
誤嚥性肺炎など、感染症の予防
脳の活性と認知症予防
食欲増進
コミュニケーションの改善
口腔機能の低下は、さまざまな状況に進行します。
そして、次のような自覚症状や他覚症状があるときは注意が必要です。
食べ物の嗜好が変わった・おしゃべりが減った
噛むと痛い(痛がる)
食べこぼしが多くなった
むせやすくなった
口が乾燥やすい
口内がネバネバしている
舌苔が多くなった
入歯が合わない
口腔ケアでお口も毎日も爽やかに!
毎日の歯磨きは習慣になっている方も多いと思いますが、正しく磨くのは意外に難しいものです。不十分だとすぐに歯石に変わってしまいます。
気になる症状(変化)があれば、早めの受診をおすすめします。
歯科医師の指導により定期的な歯科検診を受けて清潔を保つことは、認知症だけでなく、さまざまな病気予防につながります。
ぜひ、お口の中も清潔…意識してみてはいかがでしょうか。
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