「苦しかったときの話をしようか」が素晴らしかった
森岡毅さんは日本屈指のマーケターと呼ばれており,一時経営危機に陥っていたユニバーサルスタジオジャパン(USJ)を再建させた実績で有名だ。
マーケターとして外資系企業に就職し,USJを再建させ,今ではマーケティングノウハウを教える企業を経営している。
そんな豊富な経験を基に多数の書籍を書いているが,その中でも特に「苦しかったときの話をしようか」という本は素晴らしく,読書で久しぶりに感動を覚えた。
もともと本書は就職活動に悩む森岡さんの長女に向けて書かれた本であり,「自分が何をしたいのかわからない」長女に対して,「自身の強みの見つけ方」だったり「そもそも働くとは」ということをわかりやすく解説している。
中でも後半部の「自身をマーケティングする」ことと「苦しかったときの話」が素晴らしかった。
自分をマーケティングせよ
森岡さんは人間関係を築くことがあまり得意ではなかったため,マーケターとしての知識を活かして,自身をブランディングすることを思いついた。
「愛想はないけど,結果は出す人間」とか「事務作業は苦手だけど,抜群のコミュニケーション能力を持つ人間」など,誰しもが,あの人はああいう人間という印象を持ったり持たれたりしていると思う。
その印象を,仕事を進めたり自身が成長する上で有利になるように,最大化するブランディング手法を森岡さんならではの視点で細かく説明している。
苦しかったときの話
本書のタイトルにもなっている内容は,第5章に書かれている。
自分が初めて森岡さんを知ったのは森岡さんを紹介するあるテレビ番組で,彼の頭の切れ方と,その情熱的なキャラクターに惹かれ,そこから本を読んだり,出演されているYouTubeを探して見るようになった。
本や映像を通して見る森岡さんはとても自信に溢れていて,これまで落ち込んだり,挫折なんてしなかったんだろうなと勝手な印象を持っていた。
そんな森岡さんが苦しみ,劣等感を抱き,自分の存在価値を見失っていた時期の話を赤裸々に書かれている。
自分を信じられなくなり,部下を裏切り,海外でいじめに近いような扱いを受けながらも,必死にもがきながら結果を出すための努力を続けた姿からは学ぶことが多く,感動を覚えた。
苦しかったときを支えた家族への想いも綴りながら,悩む長女に向けた最後のメッセージはとても感動的だ。
まとめ
進路に悩む高校生・大学生から,自身の存在意義を見失いかけている30代まで,多くの方に響く本だと思う。
自分のように,一度森岡さんの現在の為人を知った上で読むと,そのギャップがより感動を生むと思う。
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