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博士課程とは

意外かもしれないが,大学教員になるために必要な試験や免許はない。

その代わり,今の時代では博士号の取得はほぼ必須条件となっている。

民間や公的な研究職に就く場合にも,博士号が求められるケースは多い。

今回は研究職に興味のある人を対象に,博士号を取るまでの道のりについて,自分の体験を交えながら紹介する。

課程博士とは

博士には大きく分けて,課程博士論文博士の2通りが存在する。

ここでは,最近ではより一般的で,自分も経験した課程博士の取得方法について紹介する。

はじめに,基本的な大学と大学院の構造について説明する。

先ず,一般的な4年制の大学を卒業すると,学士と呼ばれる学位が与えられる。

次に,学士取得者が入学できる2年制の大学院博士前期課程を修了すると修士の学位が与えられる。

最後に,修士取得者が進学できる大学院博士後期課程を修了すると博士の学位が与えられる。

このように,博士後期課程に在籍した上で授与された博士を課程博士と呼ぶ。

ちなみに,あまり認識されていないが,上で書いた通り大学院は前期課程と後期課程に分かれている。

世間一般で言われる大学院は前期課程を指すことが多く,簡単に修士課程とも呼ばれる。

同じように,後期課程は単体で博士課程と呼ばれることが多い。

なので厳密には,大学から大学院に進む際は「入学」で,修士課程から博士課程にストレートに進む場合は「進学」となる。

ストレートというのは,修士課程を修了してからそのまま博士課程に進むことをここでは意味している。

修士課程を修了後,一度企業等で働いてから博士課程に戻ってくる人も割と多く,その場合は大学院を一度やめているので入学金が必要になる。

戻ってくる理由は色々あるが,仕事より修士での研究の方が楽しいと感じた,というのは共通の理由だと思う。

学士と修士,修士と博士を異なる大学で修得する場合もある。

特に地方大学で研究に目覚めた学生は,旧帝大などの大学院を受験して入学するパターンも多い。

その他,海外の大学院で修士や博士を目指す道もある。

自分は,学士から博士まで同じ大学にストレートに進学した。

自分の同期は割と進学者が多く,修士課程の10%ぐらいは進学したと思う。

この割合は,大学院のレベルや研究科の違いに加えて,意外とその時の景気なんかにも影響される。

就活の失敗だとか,博士取得後の働き口の不足などが関係してくるからだ。

日本の修士や博士課程への進学率が低い理由には個人のお金事情も大きく影響していると思っているが,その辺については別の機会で書きたい。

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修士と博士の違い

学士や修士の学位を得るには,きちんと授業に出て単位を取り,教授の指導を受けながら卒業研究に取り組む必要がある。

もちろん一定の水準を満たす必要はあるものの,ある程度与えられたものをこなす能力があれば,卒業・修了はそんなに難しいものではない。

一方,博士課程では大きく状況が異なっている。

博士課程でも単位の取得は必要だが,日々の生活の大部分を研究活動が占める。

博士号を授与されるには,今後その分野のプロとして活動していくための能力があるかどうかを教授たちに認められる必要がある。

その審査の場として,研究成果を披露する発表会(公聴会)と,研究能力を審査する審査会がある。

大学院によっては,博士修了の要件に学術論文(きちんと外部に審査されて認められた論文)の本数が決まっている場合もある。

ただ,理系の場合,発表会が開けるぐらい研究が進んでいれば論文数は自然と増えているので,論文数は問わない大学院もある。

博士号取得までの年数

博士課程の標準年数は3年間だが,これは個々の都合に応じて大きく変わる。

研究の進捗が悪い場合には,4年,5年と延長せざるを得ない。

海外留学を希望して,意図的に長く在籍する場合もある。

逆に進捗が著しい場合には,2年や2年半などに短縮して早期修了する場合もあったりする。

修士課程を1年で修了し,博士課程を2年で修了した先輩もいた。

普通で5年かかるコースを3年で修了したわけなので,それだけ早く社会に出ることができるし,授業料も少なく済む。

ただ,個人的には早く修了することが単純に良いことだとは思わない。

当時は毎日に必死で気付けなかったが,多少学生の期間が長くなっても,学生の内にしかできないことをもっと経験しておいた方が良いと今では思う。



研究職を目指す人には,ぜひ博士課程を選択肢に入れて頑張って欲しい。

次の機会では,博士号取得後の流れについて書きたい。

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