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ヘイトクライムに遭った私。

こんな事、書いていいのか、書かないべきなのか、って思ったけれど、実名SNSでは同じアメリカに住む者としての情報交換も兼ねて書いたけど、でもここにもある意味勇気を出して書こうと思います。もしかしたら世界のどこかで同じ様な嫌な目に遭う人もいるかも知れないし、この話が何かの参考にもなるかも知れないし。

私は今週は大学生の娘の住むシカゴに遊びに来ています。今日までは本当に娘と楽しく大学のキャンパスをウロウロしたり、シカゴの観光地や街並みを楽しんで、美味しいもの食べたり、娘のアパートに必要なものを買ったり、家の掃除をしてやったり、ご飯を作って食べたり、娘と娘のルームメイト達と楽しく過ごしていました。

今日も朝から出かけて、シカゴのダウンダウンで買い物をし、ちょっと北のリンカーンパークと言う所まで電車で移動し、お昼ご飯も食べて、お腹もいっぱいになったので、ちょっとキレイな街並みを見ながら歩こう、と計画をたて、私達は歩道を歩き始めました。私が歩道の左側(外側)、娘は右側(車道の隣)を話しながら歩いていました。

すると急に私の右胸の下あたりに何か白いものが飛んできて当たりました。私は最初、鳥か何かが間違って突っ込んできた、と感じたのです。そんな感じの大きさと強さでした。で、「あれ?何?」と声に出して見たら、洋服の右側にべったりと生卵がかかっていました。そうです、対向車の助手席から誰かが私に向かって生卵を投げて来たのです。右肩に掛けていたバッグにも生卵が流れ込み、バッグの中もひどい状態でした。またトップスも、パンツも、ビルケンシュトックのサンダルにも生卵が付いていました。

娘が「白い車、ジープみたいな車から投げて来たんだと思う。」と言いましたが、勿論車は過ぎ去り、私達はその場でまず呆然と立ちすくんでしまいました。

ランチの残りを紙袋に入れていた娘がそこから紙ナプキンを出して拭いてくれましたが勿論間に合いません。カバンの中の私のハンドタオルは生卵で濡れています。カバンはロンシャンのナイロントートなので、生卵が中でそのまま入った状態で携帯も財布にもサングラスケースも生卵の中です。しかしそれよりも先にこれは警察に連絡した方がいいのでは、と私は感じ、丁度前からベビーカーを押す女性がいたので「すみません、今さっき、卵を投げられたんですけど、警察署とかここから近いですか?」と聞いてみました。女性は「それはホントにお気の毒です、警察署はわかんないけど、消防署しか知らないわ。赤ちゃん用のおしりふきがあるからこれで拭いて。」と言ってくれました。

とにかくもらったおしり拭きで拭いていると前から5、6人のグループが歩いてきて「そう言えばさっきあそこでも生卵が割れていた。」と言って来ました。娘が警察に電話をすぐにしてくれたのですが「他に何のレポートもないからどうしようもない。」と言われ切られてしまいました。犯罪だと思ったのですが、被害が少ないから(ケガなどをしていない)アメリカでは対応してくれないのか?と思ったのですが、とにかく、卵ですごい状態なので、少し歩いてレストランがあったので、事情を話してトイレを借りて、カバンの中の物を出して洗ったりしました。

トイレで少し冷静になり、「これがヘイトクライムなのか。。。」と思って、アジア人の自分が狙われた事実に怖くなりました。そしてもし生卵じゃなかったら、もし石とか、もっと危ないモノだったら、と思うと胸がドキドキしてきました。でも悪いことを考えても落ち込むだけなので、とにかく「生卵で良かった、体にケガはないし。。。」と思う事によって何とか自分を冷静に保つことが出来ました。でもそれでもこの自分に起こった事態をしっかり呑み込めてなかったとも思います。

卵を一個だけ投げて来たのに、しかも歩道は結構幅広く、車道からだと3mは離れていたとは思いますが、私に命中しました。なので手慣れた犯行だ、と私は思いました。私よりも娘にショックが大きく「ママ、大丈夫?」と何度も言うし、ヘイトクライムの場所に電話もしてくれたのですが、土曜日だからか誰も電話には出ません。

仕方がないのでそのまま観光を中止し、娘のアパートに帰りました。夜は一緒に中華を食べに行く予定だったルームメイトの大学生達も心配してくれていました。でも子供達に心配を掛けたら良くないとも思ったし、まぁ、それでも娘に当たらなくて良かった、とも思いました。(しかし娘は髪も赤茶色で肌も白く、背も高いので、白人みたいに見られています。なので多分私を狙ったんだと思います。)

普段はアメリカ東海岸の治安も良く、住んでいる人も良いと言われる某街で呑気に平和に暮らし過ぎて、ちょっとここでアメリカの現実を見た気がしました。アジア人である事でこんな犯行を受けるなんて、決して許されない事ですが、これがアメリカの現実なんだ、とも思いました。色んな人がいる、そして色んな考えを持つ人がいる、そして行動に出る人がいる。車から投げてくるなんて卑怯な人なんだけど、やっぱりいるんだ。

アメリカに住むってこういう事なんだ。。。と感じた一件です。