見出し画像

創作のかけら:「神話やお伽話に見え隠れする真実と仮説」

プラトンから強烈な一撃。

「原初の人間は今の人間を背中合わせに二人くっつけたような二倍体人間で、男男、男女、女女の三つの性があった。彼らは極めて強力で意気昂く、神々に挑もうとさえしたので、ゼウスはその力を殺ぐために各人を二つに切断した。二倍体人間の片割れに過ぎなくなった今の人間は、皆元の片割れを恋求めてやまぬ。男女から切り離された男は女を求め、女は男を追いかける。女女が両断されて生じた女は女しか愛さず、男男が半分になった男は男を恋慕うのだ、と。」

プラトン 『饗宴』189D

※そこから生まれる妄想。ちなみに、これは先日の「N星の知育玩具」を顕微鏡でのぞいた感じです🔬

⭐︎

『また一つに戻りたいのです。どうしても』
『もしこの謎を解けたら、真実に迫れたら、
また愛しい片割れと一緒にして下さいますか』

⭐︎

ああ、だからこんなに必死なのか。
だから、本来の片割れではないと気付いた場合には大いに嘆き、怒り、憎むのか。

⭐︎

『引き離されてしまうのはとっても悲しいけれど、もしまたあなたに巡り会って、気づくことができたら、二倍体状態では出来なかったことができるわ!』
『出来なかったことって、何?』 
『口付けよ。ほら、背中合わせだったから、今まではどうやっても無理だったでしょう?夢が叶うわ!何としてもクリアしましょうね』

君は興奮気味にそう言って
僕の手をぎゅっと握り、無邪気に微笑んだ
全く敵わないな
処刑前とそう変わらないこの状況で
ポジティブにも程があるよ
でも
確かに素敵な夢だ

オペレーターが部屋に入って来て
「お時間です」
と告げ、カプセルに乗り込むよう促された

いよいよだ
震える手を握り合って席を立った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?