牧師夫人の徒然なるままに　(七七四)　「あなたの目は前方を見つめ、あなたの瞼はあなたの前をまっすぐに見よ」（箴４）

　最近アメリカをはじめとしていくつかの国のコロナ禍での子供たちの学力についての報告が目に留まりました。オンラインによる学習が通常化し、対面での授業が出来ない日々が続きました。オンライン授業は、確かに感染からは免れましたが、その報告からは学力の低下を疑わざるを得ない結果が伺えます。
　最近目にした論文によると、オンラインでのやり取りでは、人がまっすぐに視線を合わせることが出来ないのだそうです。映し出されている人に直接視線を向けて話しているつもりでも、カメラの位置が視線とは別の場所にあるので、どうしてもまっすぐに相手の目を見つめての会話を続けることが不可能なのだそうです。そして、専門家はその小さな視線のズレが豊かな交流を阻む要因の一つだと書いていました。
　私の好きなフォークソングに「ふれあい」という曲があります。中村雅俊さんが歌っていた曲です。「悲しみに出会うたびあの人を思い出す　こんな時傍にいて肩を抱いてほしいと　慰めも涙もいらないさ　ぬくもりが欲しいだけ　人は皆一人では生きてゆけない者だから」
今こそ、肩をだいてくれる暖かさが、ぬくもりが必要なのです。視線と視線のぶつかり合うことも。

安食道子