人々が争う理由


#最近の学び

NHK 受信料未払者に2倍の割増金徴収を検討…ネットで「テレビ捨てるわ」大合唱の皮肉
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=145&from=diary&id=7146947

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>しかし年々、受信料を支払った人だけが視聴できる“スクランブル化”を求める声も大きくなっている。
NHKは公式サイトで「なぜ、スクランブルを導入しないのか」という質問に対して、「広く視聴者に負担していただく受信料を財源とする公共放送として、特定の利益や視聴率に左右されず、社会生活の基本となる確かな情報や、豊かな文化を育む多様な番組を、いつでも、どこでも、誰にでも分けへだてなく提供する役割を担っています」とし、こう述べている。

⇒「いつでも、どこでも、誰にでも分けへだてなく提供する役割」というのが本当なら受信料で分け隔てなく無料で流したら?と思うんだが(笑)。

先に結論から書くとNHKの強制的な徴収は「ゆがめられた功利主義的」な感覚であり自由主義や博愛主義には反する。主な反論は「自由主義」からくるものだろう。自由主義的な「契約自由の原則」で考えれば「NHKがやってることは電波の押し売り」である。NHKも受信料を無理やり取り立てに行くのではなく、「受信料を支払わない人にはスクランブルをかける」というのが筋が通っているだろう。ライフラインと言われる「電気」「水道」「ガス」ですら料金を支払わなければ止まるのだから。NHKの電波を止めることに反対する人は皆無だろう。「支払わないから止める、支払う人にだけ見せる」これですっきりする。


本題は終わり。ここから上記の理屈の前提となった本題よりも長い脱線のはじまりである。

飲茶氏の「正義の教室」を読み、大いに影響を受けた。

たしかに「不自由」「不平等」「不寛容」は悪だ。
かといって「自由主義」「功利主義」「博愛主義」が行き過ぎると善ではなくなる。

不自由を嫌う自由主義だが、行き過ぎると弱肉強食の格差社会となり
弱者が救済されない。自己責任な面があるとはいえ弱者に厳しすぎることになる。
「全ては強者の思し召し」となってしまう。
強者は常に強者ではない。
幼年期や老化、病気に罹っている時や負傷中もありえる。
全人類が「有能and他人を害さない存在」であれば束縛する必要はない。
だが今のロシアのように他人を害し、他者の自由を奪う存在は有能無能問わず、
束縛する必要がある。
そして無能故自分で自分を傷つける存在については
愚行権をどこまで認めるのか?という課題が常に残る。

不幸や不平等を嫌う功利主義だが、行き過ぎると強者の権利を強制的に過剰に奪う。
弱者や少数派への配分を主に法的な強制力で持って行うのだろうが、
「頑張っても頑張らなくても同じ扱い=それぞれの頑張りを無視する悪平等」では
労働意欲はそがれるし、なによりも「強者に強制力を発揮できるという強者」が
誕生するという「絶対的な自己矛盾」が生じる(共産主義の国の失敗はここにある)。

じゃあ性善説に基づく博愛主義が最高かというとそうはならない。
そもそも理屈の説明を省いた「内面的な基準」なので各々の内部での
「博愛の方向性の違い」が必ず生じるので「統一基準が未来永劫確立しない」。
それぞれの内面の正義をぶつけ合えば不幸なことに争いが生じるだろう。

「人が争う理由」は
・人が価値を感じるリソースは有限(一つのパイの取り合い)
・一部の欲深い人の欲望が無限(欲深が 余分にパイに 手を伸ばす)
というところによる。残念ながら2つともがっちりと成立している。
どちらか片方でも違っていれば争いは生じないのだが。

私としては「どれか1つの基準で対応しようとするから無理が生じる」と思っている。
「表現の自由(自由主義)」と「ヘイトスピーチ(功利主義?博愛主義?)」はその典型だ。

正義や善を考えるとき、私は
①「自由の尊重(不自由からの脱却)」がまずあり。
とはいえそれぞれが自由を主張すると自由同士がぶつかる矛盾が生じる。
②「平等(不平等からの脱却)」で調整する。
一方で「自由」と「平等」だけでは救いきれない弱者救済のために
③努力目標として「博愛」がある・・・という論建てになる。

領域論を交えるならば、自分の「自由」な領域は広げつつも、
「平等」の概念で他者の権利を侵害しない範囲を考える。
全体的な調和は「博愛」でとるという感じだ。

他人との意見調整については主要部分のルールである①②のバランスで行う。
③についてはマナーや努力目標になってくるので多くは望めないが。
①と②について相違がある場合、例えば持論を押し付けてくるような相手とは
徹底的に戦う必要があるが、
③については「価値観の違い」ということで相手と程よく距離を取れればいい。
これくらいが落としどころなのではないか。

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CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。