戦術基礎レクチャーまとめ
こんにちは、現代バスケットボール戦術研究(MBTR) @MBTResearch です。(ブログ / togetter/YouTube)
[ ※これまでの記事はマガジンから→「現代バスケ戦術研究ノート」、「プレイブック・マガジン」 「バスケットボール・ドリルまとめ」 ]
今回はマガジン第22回として、過去に行った戦術基礎レクチャーをまとめておきます。
① 期待値に基づくシュート選択
バスケットボールでは、相手の点数を自分達の点数が上回ることを競う以上、自身の得点期待値を最大化することが基本かつ重要になってきます。
である以上、当然ながら、それぞれのシュートの期待値について知悉しておくことが必要となってくるわけです:
既に人口に膾炙したところですが、3Pライン外になった途端、得点が1.5倍になるという競技ルールにより、ミドルレンジのシュートと3Pシュートの期待値差は非常に大きくなっています。
ペリメーターショットを打ってはいけないわけではないですが、打つという選択の”重さ”については十分認識されておく必要があるわけです。
上述のシュート期待値を”単純に”適応する場合は、以下のようなシュート選択が望ましいと言えるでしょう:
一方で、上記のようなシュート選択原則は、非常に合理的な一方で以下のようなPitfallもあります:
実際問題として、トップチームは通常、高レベルのMidrange Shotを打てる選手を運用、ないし必要としています。
極端な話、「3ptと制限区域しか狙ってこないチーム」は守りやすいですし、「期待値は考慮しつつもどこから打ってくるか究極的には分からないチーム」の方が明らかに守りにくいでしょう。
(とはいえ、この複雑性を拡大解釈して、3ptにすべき場面を2ptにdiscountしてしまうことが許容されるわけではないので注意が必要ですが)
② シュート選択に基づくスペーシング
先述の基本的なシュート選択に基づくスペーシングの”1例”を挙げると、このような形になるでしょう。
3ptライン外に立つことを意識することは出来ていても、Dunker Spotの意識と活用が甘いチームは少なくないのではないでしょうか。
しかし、制限区域の得点やドローファウル → FT を目指すのであれば、Dunker Spot 〜 Dead Lowを上手く使えることは、必須中の必須となってきます。
また、最近はStretch 4 / Stretch 5は珍しくもなく普通になってきましたが、その戦略にもトレードオフがあります:
Stretchを選択することは、マークマンのClearout / Seal Screen / "Gortat" が狙えないということになるので、却ってトータルの得点期待値を下げてしまう可能性があります。
また、相手のラインナップ次第では、Dunker Spotでの合わせに拘る方が、Stretchするよりも得点期待値で有利になる可能性も十分あるでしょう。
3ptの得点期待値が大昔に思われていたよりもかなり良いという事実が広まっていることは非常に良いことですが、極端にStretchに流れないことも重要だと思います。むしろ、ガードですら、状況に応じてSeal Screen や Dunker Spot を狙いたいところです。
③オフボールの合わせ
既によく知られているところではありますが、ドライブに対する合わせの動きは、上記のように図形的に体系化されています。
DF予想の裏をかいて、あえて逆に動く(例:Dragと見せかけてDiveやDrift)ということも度々あるのですが、まずは局所的に有利な2on1を作るというサークルムーブの原則が十全に理解されることが前提になるでしょう。
上記はあくまで原則になるので、より具体的なシチュエーションについても整理して把握しておくとより実践的になります:
サークルムーブ原則だと意外と判断が難しいのが、PNRのときのオフボールムーブです。
というのは、ハンドラーとスクリナーの回転方向が通常逆になるからです。
これに対しては、ハンドラーに合わせるか、スクリナーに合わせるかの2パターンで考えるというのが一番整合的で理解しやすいかと思います:
どちらを狙うかは、相手の守り方やラインナップで選択可能ですし、いつもしている方の逆をやって相手の意表を突くのも良いでしょう。
(以上)
※ここまで通読いただきありがとうございました。ご質問、ご指摘あればコメント欄などにお願いします。
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