【社会人/博士/体験記】第18回「そ そんなもの噂でござろう」
こんにちは、白山鳩です! クルッポゥ!
このマガジンは、
働きながら、「博士後期課程="社会人"博士」
を目指す体験談です。
前回の記事はこちら ↓↓↓
さて、今回は、大学の図書館の話について書いていきます。
1つの記事あたり、だいたい5分で読めますので、お気軽にスクロールしてみてください!
封印解除(レリーズ)
さて、これまで図書館といえば、近所の市民図書館ぐらいしか縁がなかったところが、10年ぶりに大学図書館に入れることになった鳩。
しかし、鳩の通っているキャンパスがメインではなく辺境のキャンパスだということもあり、本のラインナップに限界を感じていたのですが……。
メインのキャンパスから本を予約して取り寄せ、持ち帰ることができるのです!
このシステムを知った鳩は、さっそくAmazonの「ほしいものリスト」に入っていた本を検索し、上限の100冊までシステムにブックマークしました。
入学して最初のGWには、どんどん本を借り入れます。
たとえば、『ジュラ紀の生物』とか。
『WWEの独裁者』とか。
近所の市民図書館と違って、一般向けのビジネス書はあまり入荷していない傾向にあるのですが、この手のサブカル本はいくらでも読める状況で、そうか自分はこのために入学したのかと半ば錯覚する鳩です。
しかし、司書の方から本を受け取るたびに、鳩は気づきます。
ます、取り寄せ棚にはいつも本があまりない、ということ。
むむむ……。
辺境のキャンパスであり学部生・院生ともに人数が少ないというのも理由の1つでしょうか。
彼らのニーズに特化したキャンパスの図書館であり、わざわざ取り寄せなくてもここの本で要望は完結するのでしょうか。
しかし、せっかくの機会なのにもったいないようにも思います。
一方、取り寄せた本の裏を見ると、本を借りたときの日付の押印がほとんどなく、初めて借りたのが自分だという本も多くて驚きます。
誰が何のために入荷したのでしょうか。
押印履歴が10年前のものだと気づいたときなんかは、
このキャンパスの封印を平成から令和の世に解き放ったような気持ちになれたものです。
封印解除と書いてレリーズと読むように……。
メインキャンパスの喜び
しかし、真剣に論文を書く段となってくると、本の取り寄せだけではどうにも間に合わないようになってきました。
専門書を借りるのもそうなのですが、論文を印刷する必要があるためです
(入学当初、2,000回の印刷が可能なコピーカードを渡されるのですが、メインのキャンパスに通うようになると、半年程度で使い切ってしまいました)。
そもそも、『ジュラ紀の生物』なんかを読んでいる場合ではないのです。
というわけで、セミの声が聞こえ始める頃には、所属している研究科のあるキャンパスよりも近所にある、メインのキャンパスへ通うようになっておりました。
妻から借りた、前後に子どものカゴ付の電動自転車は、我ながらキャンパスには場違いではあります。
普段、自分の所属するキャンパスには仕事終わりのような時間帯に行っていたので、若い学生とすれ違うことはほとんどなかったのですが、土曜の昼にメインのキャンパスの図書館へ向かうと、ちらほら人影が見られるわけです。
「最近の若い子は、男の子も日傘をする」
という実例を大学キャンパスでたびたび目撃し、
「あ、まとめニュースで見たヤツだ!」
と進研ゼミ気分を味わったものです。
さて、メインのキャンパスともなると、ちょっとした市庁舎ぐらいの大きさとなってきます。普段通っているキャンパスの図書館とは比べものになりません。
電動自転車で流した汗をぬぐいながら図書館に入ると、空調(エアコン)が効いていて、よみがえった気分になれます。
土曜日の図書館もまた人影はそこそこなのですが、多くの学生は、YouTubeでダンス動画を見たりネットゲームをしたり……。
自宅より図書館の方が快適なのでしょうか……休日にわざわざ図書館に来るインセンティブなんて、やはり空調(エアコン)ぐらいしか考えられません。
3つの失敗談
さて、ここからは、大学院1年生の鳩が、大学図書館で食らった3つの失敗談をご紹介します。
食らった話①オープンキャンパス
「土曜日だから人も少なかろう」と、快適なキャンパスを期待してやって来たら、やたらと多い若者たちの姿。
そしてそれに寄り添う保護者たち。
これは、
そう、
オ ー プ ン キ ャ ン パ ス
さて、大学の図書館には、ボタン1つでガガガと動く書架をはじめとした、未来の科学技術を待っているコールドスリープ中の実験室みたいな地下室がつきものでして、そこには大量の蔵書が眠っています。
さて、この書庫から引っ張ってきた本やら論文やらをコピーした鳩。
地上には人が溢れていましたが、自分と司書の方しかいない土曜の地下の空間で、心静かに印刷にいそしんでいたのですが……。
エレベーターが開き、不穏な足音の列が……。
そう、
これは、
図 書 館 見 学
キャンパス見学の生徒たちを図書館最奥にまで連れてきた引率のおじさん。
そして、事もあろうかコピー機周辺で足を止めて図書館内の説明を始めたせいで、親子20名ほどに囲まれながら複合機を動かし続けるという不思議なプレイを味わうハメになりました……。
食らった話②試験期間
食らった話2つ目は、試験期間と返却期間に関する話です。
本の貸出期間は通常2週間あります。
さて、4日前に本を数冊借りた鳩が、そのうちの読み終わった本を返しにいくと、司書の方が心なしかムスッとしています。
そして、
「ほにゃほにゃほにゃ本があります」
と早口で言っていました。
自分に言っているのかも分からなかったので、「?」となったまま離れた鳩。
その後、図書館のパソコンでデータベースを確認していると、
あれ、なぜでしょう、
返却期間が過ぎています。
さっきの司書さんは、「返却期間を過ぎている本があります」と早口でキレていたのかと気づきました。
(あれ……細かく本を借りてたから、返却期間が分からなくなっていたのか?)
と思い、データベースを確認する鳩。
すると、15日に借りた本の返却期間よりも、その後の20日に借りた本の返却期間の方が短くなっていました。
機械がバグっているとしか思えません。
すると、衝撃の注意書きに気づきます。
謎のルールのせいにより、先に借りた本より後に借りた本の方が返却期間が短いというパラドックスが発生したようです。
まだまだ読むつもりだった本を取りに帰り、再度図書館を訪れた鳩は、平謝りに平謝りを重ねたのち、司書さんにこの返却ルールについて聞いてみると……
とのことでした。
「え、でも、少し早めに借りた本は、そのルールに関係なく長く借りられているんですが」
と、鳩がパラドックスのことを口にしますと……
と返事がありました。
いや、公平感はどうした。
まあ、そもそもの話としては、注意書きを見落とした鳩が悪いので、あまり偉そうなことは言えないのですが……。
上記のとおり、実は公平感を欠いていたり、直観的に分かりづらいルールであったり、アラームが少なかったりと、改善の余地はありそうです。
しかし、鳩も接客業の経験があり分かるのですが、このような末端の司書の方にクレームをしても、組織が改善されることはありません。
いわんや、大学組織をや。
すごすごと家に帰るのでした。
食らった話③入試期間
時間軸は前後しますが、学会に論文を提出したものの、「全然なってないから書き直しなさい」と突き返された鳩。
修正期間も迫って来た中、確認したい文献があり、会社を早退して図書館へ妻の電動自転車を走らせます。
しかし、
図書館に着くと、
噂には聞いていたものの、見たことのなかった、
「休館」の立て看板。
大学入試の期間と重なっていることから、図書館を空けていないのだそうです。高校生にたむろされたくない、ということなのでしょうか。
休館期間を確認すると、幸か不幸か、論文提出2日前に開くとのこと。
パンドラの箱に最後残った「希望」を見るような思いで図書館を後にした鳩は、
「弓も折れ、矢尽きようとも、せめて一太刀……」と、
大学の近所にあるおいしいパン屋さんに寄って帰ることにしました。
どうでもいいですが、パン屋までの道順を調べるためにGoogleマップを開いたら、普通にキャンパス内を突っ切るルートが出てきて、
「あ、大学は公共財なのか……」
と少しだけ笑って、自転車を漕ぎ出した鳩でした。
さて、次回はいよいよ学会に参加します。
まだ、何も発表しない鳩ですが、様々な洗礼を浴びることに……。
to be continued…
参考資料
・挿入マンガ①:久住昌之(原作)谷口ジロー(作画)『孤独のグルメ』(扶桑社)
・挿入マンガ②:板垣啓介『バキ』(秋田書店)
・挿入マンガ③④⑤:横山光輝『三国志』(潮出版社)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?