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ツレが特ヲタにもほどがありまして。続

 今晩は。本日もお疲れ様です。深夜の戯言を読んでいただき有難う御座います。調子に乗ったわけではないのですが、ネタがありすぎるので徒然なるままに書き記してまいります。
 さて、2回目の本日は、特ヲタのオットを持って何が大変か。
 これ、一度同じ立場の方とお話してみたいのですが、少なくともわたしは一人でも声を大にして叫びたい。

「おもちゃで部屋が埋まったんだよおおおおおおおおおお!!!!!」

 いや、冗談でなく。埋まりました。床はとうに見えず、天井近くまでデビルタワーが乱立しております。これが5年ほど前までは3.5畳くらいの床が存在していたなどと、誰が信じるのか。立ち入れない部屋にそびえるデビルタワーの禍々しさっぷりに、思わず掃除道具を握りしめたまま呆然とするしかございません。
 因みに、そこそこ容量のあるクローゼットの類は、引っ越してきた時点で埋まった。みっちりと。私の私物は布団と服くらいしか収納できていない。
 彼は今、押し寄せてくるおもちゃを絶妙なバランスで成り立っているその部屋で、在宅の仕事をしている。移動? デスクの上のものを取るだけなら可能だ。当たり前だが二人で入ることはできない。なんでこんなことに。
 ところでオットの趣味は特ヲタだが、アニオタガノタトランスフォーマーガチオタである。もはや部屋を倉庫化する工作員としか思えない業の深さだ。さらに言うなら、仕事熱心な一面もある。オタクなだけに研究熱心な性がそうさせるのか、仕事関係の本の類も多い(えてしてそういう専門書は分厚くてデカい)。
 そう狭くは無い(と信じたい)部屋に溢れるのは、ざっくりと分別するとおもちゃおもちゃフィギュアフィギュアフィギュアプラモーーーーーー…プラモ塗料食玩食玩本DVD-BOXトランスフォーマーーッ!!…である。
 なお、トランスフォーマーに関して触れると、オットの熱いヲタク部分がはじけ飛ぶので、今回は横へと置いておく。
 一見無秩序に見えるおもちゃプラスアルファだが、一応秩序があるようで、最高ランクの扱いなのは特撮フィギュア。恐ろしい事に箱のままの収納である。フィギュアの稼動性を完全に封じにかかっているが、大事過ぎてあけられないと言う気持ちも分からなくはない。
 さてこのフィギュアだが。同じキャラクターでもシリーズを変えて同じ商品がでている、そうだ。見た目が劇的に変わっているのならともかく、等身が現実の中の人と同じ!という、特ヲタのツボをずぎゅんと一発撃ち抜く商品に至っては、もうそれ持ってるのと同じ商品じゃん!と叫びたくなるような代物もある。そういう時は、大抵本人も後ろめたいのか、購入したことを隠している(そもそもこういう物を買う時に堂々と買ったりはしない)のだが、ふとした拍子にわたしに見つかってしまった日には大変だ。
「違うんだかぁちゃん! 違うんだ!」
 誰がお前のかぁちゃんだオットよ。息子だったらもう少し遠慮なく𠮟ってるよ…。
 私から手の届かないように、後ろ手にフィギュアを隠して叫ぶオットは、あろうことか「ころさないで!」と人聞きの悪い事を言う…。どんだけ怖い目に合わされると思っているのか。気分はナウシカからオームを取り上げるパパに等しい。大丈夫、怖くない。
「同じものを2体も3体も買う必要ないでしょ! 返してらっしゃい!(どこに?)」
「違うんだかぁちゃん! このフィギュアは昔と今とでは造形が違くなってよりリアルな稼働を実現して、ポーズが劇的に表現できるように…」
「箱にしまっていて表現もへったくれもあるか!」
 正論を真正面からぶつけられて、へなへなと崩れ落ちるオット。しくしくと泣きながら、だって違うんだもんとしつこく訴える。
 だからさー、とヨメは続ける。
「部屋を片してさ、飾り棚にちゃんとフィギュアをディスプレイしたらいいじゃんって前から言ってるじゃない。なんでしないの」
「飾り棚は欲しいけど、飾ると紫外線で塗料が」
「箱にしまっていても湿気でボロボロになりそうだわ」
 正論に正論をぶつけてノックアウト! するのはいつもヨメである。正義は我にあり。
 そんな会話をしょっちゅう繰り広げていたので、流石にオットも思うところがあったのか、大規模な部屋の掃除を行って、断腸の思いでお宝の数々を手放すことにした。その英断と勇気に敬意を払いたい。
 だが、そんな綺麗なオチは我が家では許されなかった。

「…ねぇ、あのさ。この××のライダーのフィギュア。全く同じものが3体出て来たんだけど、これも「違うんだかぁちゃん」案件なのかしらね?(どこか違うところがあって3体も買ったのかと聞いているヨメ)」
「…これは…買わなきゃと思って…毎回買ったことを忘れて…3回買ってしまった…ストレスによる産物です」

 あの時ホントにくそ忙しかったから!!と3箱のフィギュアを前に頭を抱えているオットを見ながら、同じようなブツがきっとこの中にたくさん紛れ込んでいるだろう、この部屋が片付くのは一体いつの日になるのかと、ヨメは途方にくれているのです。

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