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2020年1月 長崎本屋巡り 3

3軒目へ

2軒目のブック船長から出て、コロッケで昼食を摂ったあとは、近くの古本屋へ。本命ではなかったものの、思った以上の収穫がありました。

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大正堂書店 外観  

3軒目は大正堂書店。日本の古本屋では「創業明治39年」と書いてあったり、別の取材記では「明治43年創業」と書いてあったりまちまちですが、ともあれ100年以上続く長崎の古本屋です。手元にある『古書肆100年 一誠堂書店』を紐解くと、一誠堂書店が神田に店を構えたのが明治39年(その3年前に長岡で開いた書店が一誠堂のはしりとのこと...)。一誠堂と同じくらいの歴史を持つ古本屋と言うとなるほどと思う方はいらっしゃるかも。旅行で行った本屋の中では熊本の舒文堂河島書店が一番古い本屋かもしれません。この辺は一度調べてみます(舒文堂河島書店の80年史がなかなか手に入らないんですよね...)

棚はいわゆる郷土史や長崎関係の本が大半。地元の古本屋でここくらいのところがあると、何かほしい資料があれば頼れそうです。15分くらい棚を眺め、買う本を決めて会計。そこからが長かった。だいたい店主と2時間近く話し込んでました。遠藤周作が資料を買いに来ていたとか、その辺りの話から始まり、長崎で神田の話をするまでに。。。今は白山通りにある友愛書房で修行をしていたとか、神田界隈の古本屋がどこから独立したとか、古書会館ビルが新しくなった話とか、明治百年古書展観大入札会の話とか...文車の会の方が来ていたり、弘文荘の反町茂雄も来ていたとか。流石に市での振りは経験していないと笑われましたが、話題が青木正美『古本屋五十年』とか『古本屋群雄伝』とかに出てくることを目の前の人から聞いてるということに驚きを隠せず...話に反応したり脳内の引き出しを高速で開け閉めするのに必死になって頭がオーバーヒートしそうになりました(実際この日の夕方に宿に戻ってたら2時間ほど寝落ちしていた...)。多分神田で会ってたらこんな話は聞けなかったでしょう。いやはやほんの少しでも東京古書組合辺りの古本屋の話を知識として持っていたのがここで活きてくるとは思いませんでした。

本屋の話として一番印象に残ったのは、やはり研究者が買いに来なくなったということでした。郷土史系が強い古本屋の最大の顧客は常勤の研究者や図書館など学術関係の方や施設でしょうし、そこからまるっきり来ないと。あと、以前はよく休みの時にゼミ生を引き連れて来ていたけれど今はからっきし、という話も聞きました。もしかすると、本屋を巡るなんてことはもうこの先やる人はかなりいなくなるのかもと思いつつ話を聞いてました。

最後に店を出る前に「今の店舗は昔の外観を復元した」という話とともに、昔の写真を見せていただきました。たった2冊本を買っただけですが、ここまで丁寧に応対いただけたのは非常に嬉しい限りです。

今回買った本

今回買った本は、庄司浅水『本の文化史』と『論集 長崎の部落史』の2冊。ちょうど次の日に平和公園へ行く前に、浦上町から行ってみようと思ったと浦上四番崩れの話を少し頭に入れておきたかったので購入しました。

今回言及した『古本屋五十年』、『古本屋群雄伝』は東京古書組合に属していた古本屋について知るきっかけにはかなり最適な本だと思います。


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