国家
現在、世界最強の国はどこかといえば、そりゃもうアメリカです。
第2次世界大戦前からそうだった。その前はイギリス・大英帝国でしょうか、スペインという時もあったのでしょう。
文明が発達した国が武力も優れているというのは現代においては当然の常識ですが、これは実は人類の長い歴史の中でも珍しい時代だと言えます。
近世以前はそれこそ、野蛮人のほうが強かった。
フン族やら、バイキング、ゲルマン、東の方には倭寇なんていうのがいて、中国の王朝や古代ローマなどの先進国を苦しめる方が普通だった。
その代表がモンゴル騎馬民族ですね。
13世紀に急激に伸張したこの世界帝国が歴史上最強の国家であることは疑いようないでしょう。
鞍もなしに馬に乗って、その体勢から前後関係なく、ぴゅんぴゅん長射程の弓を射る、しかも正確に。
こんなことは文明社会に生きている人間にできるわけがない。こと戦闘能力に関しては、文明は人を弱くするのかもしれません。
ところが歴史の中でこの形勢は逆転します。
文明自体の量的な膨張と軍事技術の進歩が最大の原因だと思いますが、もうひとつ兵個人が強いかどうかに関しては重要な点があります。
国家ですね。
単に領土ということではなく、家族も社会も理念も名誉も、自分の属しているもの、自分という存在を世の中に立脚させているもの、全ての総体として、近世以降この国家(Nation)というのは世界史に登場してきます。
国家(国民国家といってもいい)の意味はぼんやり使ってる「国」とは全く違うものです。
ナポレオンのフランスが最強だったのはこのためで、ヨーロッパの国々は、だから真似をした。
王のためでなく、金のためでなく、自分の国のため。
こういうもののために人は死ぬ。
死を決した兵というのは強いものです。
民主主義は「大きな軍事力」でもあったのです。
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