見出し画像

益田ミリ『47都道府県女ひとりで行ってみよう』読んだ

週に一冊だったり月に一冊だったり、読まない日も全然多いけど、読みかけの本はあまり切らさないくらいには読書が好きだ。

この本は自分で買ってはいないが、妻の積読本からなんとなくタイトルが面白そうだったので読んでみた。

『47都道府県女ひとりで行ってみよう』
益田ミリ 著

タイトルそのまんま益田ミリさんが47都道府県全てにひとりで行ってみたという内容のエッセイ。
1つの都道府県ごとに5ページの旅行記と4コマ漫画、それから旅にかかったお金の明細まで丁寧に載せていて、食べたもの買ったものまでわかるようになっている。

この本を自分の旅行先をどこにするかの参考にしたいと思って読む人にとっては情報が薄いかもしれない。
きちんと土地の魅力を紹介しようとか名物を食べようとか、そんな気もあまりなさそうで、普通にビジネスホテルに泊まったり適当にご飯をすませたりする。あと、現地の人との交流もあんまりない。
一人旅なのだから、自分の好きにすればいいのだ。楽しみ方に外野がとやかく言うことは野暮でしかない。

益田ミリさんの本は初めて読んだけど、飾り気がなくて正直な文章で好きだった。ステーキが生っぽすぎて残してしまったとか、煎餅焼き体験をやりたかったのに勇気が出ずに言い出せなかったとか、綺麗な景色を見たときに感動しなければと心がせかせかしてしまうとか、もしこれが現地を紹介する記事だったらスポンサー激怒案件なんだろうけど、こうして心の恥部をさらけ出して書いている感じが人間臭くて心地良い。

関係ないが、この本を読んでいて私もかつて一人旅をしたことを思い出した。
19歳くらいの時、青春18きっぷを買って鈍行電車で長崎から出発して広島までひとりで行ったことがある。付き合っていた彼女と別れた後で、未練が消えていなかった私は広島のカプセルホテルで夜中に彼女への思いをノートに3ページくらい書き綴ったのだった。
益田ミリさんも「旅は自分の心と話せる自由時間である。」と書いていたが、広島に行きたかったわけではなくて、ただ孤独を感じて感傷に浸っていたかったのだろうな、私。
私にはこういうイタい黒歴史がたくさんあるが、もう30代なのだからそろそろ供養していきたい。

3ページにわたる失恋ポエムは幸いにもネットの海に放流されることは免れたが、今年実家に帰省した際にそのノートを発見してしまい、誰にも見つからなさそうな場所に厳重に封印しておいた。
勝手に棚が整理されていたので、もしかすると母がノートを開いてしまったのかもしれない。死にたい。

この記事が参加している募集

#推薦図書

42,566件

#読書感想文

189,460件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?