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家を買う

家を買った。いや、もう少し正しく言うと購入していた家が完成して、先日鍵の引渡しがあった。

福岡の郊外にある2階建ての一軒家。決して広くはないけど4人と2匹で生きていくのはまあなんとかなるだろうと思う。一応建売という扱いになるらしいのだけど、申し込んだ時はまだ土地の状態だったので間取りやら壁紙やらある程度は好きに注文させてもらうことができた。ありがたやありがたや。

細かいことを言えば、たとえばトイレと風呂場に窓はいらなかったなあとか食洗機は深型タイプの方が良かったじゃんだとか、打合せの時になんでちゃんと考えなかったんだよ俺……と思うところはある。私は今後一生の窓の掃除と食洗機からあふれた食器を洗うことを妻に誓っている。でもいいんだ。そんなことでくよくよする私じゃない。1つだけ余った部屋が知らぬ間に「編み物部屋」と呼ばれて妻の部屋になっていたけどそれもいいんだ。この家を気に入っているんだ。

そういえば関東から福岡に移住するぞと決めた時、私は特に福岡の地理に詳しいわけではなかった。どの町が住みやすいとかどの電車が走ってるとか全然わからない。コンパクトな都会で、食べ物が美味しくて、長崎の実家にも車で行けるなら最高じゃーんという程度のふわっとした憧れだった。出張やコンサートや結婚式なんかで何度か訪れた時、街の雰囲気が好きだなあと思っていたくらい。

それで福岡に住む友達やnote仲間やハウスメーカーの人にいろいろと助言をもらって、転職活動で福岡に来た時に実際に現地を見て土地を決めてしまった。どうせ永住するならこどもたちを転校させたくはない。親の都合でこどもたちの世界に暗い影を落としてはならぬ。そうしてこの春に移住してしばらく近くの賃貸に住み、先日ようやく家が建ったというわけだ。

そんな経緯を話すと、周りの人からは「決断力がすばらしいねえ」とよく言われる。私もそう思う。すごい。お金も土地勘もさほどないのに思いきりがいい。お義父さんからは「藤井聡太の将棋の指し手のようだねえ」とまで言われた。ええと、それは買いかぶりすぎでは。まあなんにせよ娘と孫が会いやすい距離に来てくれて嬉しそうである。

実際、藤井聡太のようにこの先の勝ち筋が見えているのならかっこいいのだろうが、私はけっこうその場の勢いで決めてしまっているので一寸先は深い闇である。こうして移住して家まで買ってしまったけど、目の前に敵の飛車がいるかもしれないし、意外なところから桂馬に狙われているかもしれない。うまくいく自信はどこにもない。家族の手前、歩兵なりに去勢を張って動いてみたにすぎないのだ。

30歳の時に35年ローンを組んで関東でマンションを買い、たまたまタイミングが良かったのでそれを売却して今35歳でまた35年ローンを組んでいる。あれ、完済まで5年伸びている。でも大丈夫なんですね。謎の光が差して不思議な力で住宅ローンは完済され非課税で5億円が降り注いでくる未来を私は信じて待っている。ローンを組むのはどこか祈りにも似ているな。なむなむ。

そういえば5歳次女から、パパのあつ森で早くたぬきちに立て替えてもらっている5000マイルを返してテントから家にしなさいよと言われている。最近はゲームの世界までも借金返済に追われている。必死に木の枝を拾う主人公の姿に(自分で動かしてるのだけど)なんだか妙に情がわいてしまったのだった。一緒にがんばろうな。

なにはともあれ来週の引越しが楽しみ。

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