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掃除と反省

反省する。文章というのは自分の悪い部分を見せないでいられるから、私はnoteにおいて「家事もデキる男」を演じチヤホヤされようとしていたかもしれん。いや、していた。だけど現実には全て適当で、特にこと掃除全般に関してはものすごくダメなやつなんだということを自らの戒めとしてここに書いておく。

先日、ピザをトースターの網目の隙間に落とし、チーズが焦げた煙で部屋を充満させてしまった。いつもは1枚まるごと焼いてから切るのだけど、この日は長女だけ先に食べることになり、ピザをまず8等分に切ってからそのうち4枚を焼いた。

ところが切ったピザを焼く時、アルミホイルなどを敷かずにそのままトースターに突っ込んでしまった。わが家のトースターの網目はけっこう幅広いストライプなので、隙間にスルンと1枚が落ちてしまったのである。ドタバタしているとどうにもそのへんを考えきれずにやってしまう。

でもまあここまではやってしまったな、というミスである。問題は私のトースターの掃除が超ズボラだったことにあるのだ。

煙が家中に充満したせいで、夜に妻が「寝室まで焦げ臭くて眠れない」と消臭スプレーをベッドなどに振りかけてまくっていた。妻の嗅覚は通常の人間の5倍ある(当社比)ので、申し訳ないな……と思いつつその日は寝た。ちなみに妻は浄水器の水の味がおかしいことにもよく気づくので味覚も私の3倍はある(しかし一部界隈では私が全てにおいて鈍感なだけだと唱える説もある)。

そして翌朝、食パンをトースターで焼くとまたしてももくもくと焦げ臭い煙が出てきた。昨日のピザの取り残し&妻の怒りが着火してしまったわけである。

「ちゃんとトースターの掃除したの?」
「ええと……菜箸でピザを取って……」
「ここは取って洗ったの?(ガタンッ)」

あの、みなさんご存知です?トースターの下のプレートって、取って洗えるんですよ(トースターによるけど)。そう言うアンタは知らなかったのかって?いや、なんとなく知ってはいましたけど……ええ、面倒臭くて。はい。すいません。

再燃したピザの焦げからまた煙が部屋を充満し、もうどこもかしこも焦げ臭い!これから売ろうという家を臭くする気なんか!と怒る妻。クサイクサイとトースターを乗せてる食器棚の中身を全て空にして拭き上げ、食器まで黙々と洗い始めた。

「いやいや、俺のミスだから俺がやるよ」
「……」
「むしろやらせてください俺に」
「……」
「何かやらなきゃ気がすまない。どうかお願いします」
「……」
「ここで働かせてください!ここで働きたいんです!」
「私の納得いくようにさせてよ!だいたいあなたにさせても洗い残し多いし、というか生肉を触った手でベタベタいろいろ触るし、コンロまわりを拭いた布巾で机拭くし、結局私がやり直すことになるでしょ?」
「……はいすいません」

もうその通りすぎて何も言い返せない。妻に言わせると元々雑すぎる私の掃除スキルでは全部せいぜい60点の仕上がりしかできず、最後は妻が文句を言いながらやり直すハメになるのがいつもの流れなのだ。昔一人暮らししていた部屋を退去する時に妻が発狂しながら掃除してくれた記憶が蘇ってくる。

何も手を出せないとやることがないが、ここで私が尻を地面に着けてはいけないということだけは恋愛偏差値の低い私でもわかる。私もその間、妻の邪魔にならぬよう掃除機をかけ、トイレと風呂を磨いた。これまたズボラで年末に大掃除を全然しなかったのだが、妻の怒りと私の反省パワーで思わず家がピカピカになってしまった。ついでに不要な食器なども捨てて頂いてとても片付いた。「ピザを焦がせば家が片付く」ということわざでもありそうだね、とか思ったがこれは怖くて言い出せなかった。

風呂掃除をしていると、妻が「何してるの?」と覗きに来た。「風呂をキレイにしたよ、ほら」と見せるが「ここまだ全然汚れてるじゃん」「ほらここも」「え?なんでこの水垢が見えないの?目ついてる?」と言われ、またしても妻が洗いだす始末。結局トイレも同様に妻が掃除をし直していた。あまりに無力。全く力になれない。

そういうことで私はここに掃除の雑さを反省し、心を改める次第なのである。愛や優しさだけでは必ずしも家庭を守れない時もある。まずは自らやることが一歩目ではあるが、積極的な姿勢だけで評価されるのははじめのうち。全ては結果なのだ。

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