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東京寫眞帖 : 滝王子稲荷

蛇窪神社、原の水神とまわったあと、せっかくここまで来たのだから、と滝王子稲荷まで足を伸ばしました。

滝王子というきれいな字の並びから、いつも、水もしたたる美青年(波津彬子先生の漫画にでてきそうな感じの)をイメージしている私。
久しぶりで訪れたお稲荷さまはがらんとしていました。
前に来た時は手前の空き地で野球少年たちが練習していて、とても賑やかだった記憶があるのですが、この日は週末だというのに人っこひとりいませんでした。
しん、と静かな境内。
すっくと伸びた立葵の色鮮やかな花。
人混みは苦手な私ですが、こんなふうに人が全くいないのも苦手で、なんとなく落ち着きません…

お社は小さいけれど威厳があります
前の通りを歩く人すらいない…

ところで、この滝王子稲荷には富士塚があります。
それも、ほんの数歩で頂上に着いてしまうという超ミニ富士塚。登山道の石段を登る前から、頂上の奥宮の祠が見えています(笑)

看板は立派なのですが。
「登山道」に脚を踏み入れるがはやいか
頂上が見えてしまうのでした。
奥宮

左手には草むらに埋もれるように、小御嶽こみたけ様とおぼしき祠も。

ほんとうに草ぼうぼう

奥宮は火山岩のような岩に囲まれています。
もしや、と思いましたが、やはり富士山から運んできた溶岩なのだそうです。

お稲荷様の社殿から見たところ。
ごつごつした溶岩に囲われています。

富士塚もいろいろですね。
都内の富士塚には何か所か行ったことがありますが、鳩森様の立派なお山もいいし、紫陽花におおわれた白山神社のお山もすてきです。
そしてこの滝王子様のミニ塚も、小さくても富士塚を持ちたい、という江戸の昔の人々の信仰心の現れのようで、やはりいいなあ、と思うのでした。

それでですね、この記事を書こうと思って他の方たちのサイトを見てみたところ、2017年〜2018年ごろの富士塚はここまで草が茂ってはいなかったようです。
それに、鳥居のすぐそば、池のほとりには御神木のタブノキがあったようなのですが、今は影も形もありません。この6、7年の間になにがあったのでしょう?… 台風ででも倒れてしまったのでしょうか。

ありし日の御神木の姿はこちらのサイトでどうぞ。

鳥居わきの池は、先に訪れた原の水神池と並んでこのあたりの水源の池で、ここから大森の方へと小川が流れ下っていたのだそうです。
今でも水は湧いていて、池は神社前の通りの下を潜って続いています。地図で見ても、いかにも川の跡と思われるアヤシゲな道が何本も走っていて、とてもそそられます。
70年以上前はこんもりとした木立があって湧水量も豊かで、子どもたちが泳いだり鯉やザリガニを釣ったりしていた池。
暑さのせいもあってそそくさとお参りを終えてしまい、池をちゃんと見てこなかったので、今度はもう少ししっかり見てこようと思います。アヤシい暗渠道もたどってこよう♪♪

(2023.6.3)

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