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温故知新とリノベーション



同じ土地に建つ一軒の建物



お分かりいただけますでしょうか。

5年前と2024年現在。
撮影時間は違えど
同じ土地に建つ一軒の建物。
1枚目の画像の築40年の鉄筋コンクリートの団地が
2枚目の画像の新築デザイナーズマンションに建物ごと建て替えられました。

一度全部壊して、新築オートロックマンションに。



全く別の景色に見えますが
正真正銘、商業主義の波に乗った
日本のある地方都市の
ビフォアアフターです。


この土地は、街路樹が定期的に3年に1回の割合で
街路樹の強剪定がされるので
景観は違うけど。
全く同じ場所。


正面。華々しい。見た目良し。
映える。
これが建つ前は、古びた古い鉄筋コンクリートマンションでしたから。築40年、古びた団地作り。
映えない、汚い、景観悪い。


わたしにとっては見た目も中も素晴らしい作りでしたが。

広さは変わらず家賃は倍

デザイナーズになった今は住居戸数は倍。
家賃も倍。駐車場は満杯。
大家さんはさぞかし儲かるでしょう。
この土地ごとを売ったらしい。



わたしはこのマンションが建つ前
5年前に3階の角部屋に住んでいた住人です。
強制退去になり、5年前に退去。

築古物件が気に入って住んでいて
更新料も支払いましたが、そのわずか半年後、
突然ポストに投函された
新しく建て直すという一方的な理由で
突然追い出されました。


大家や不動産側からしたら
強制退去の理由は貸す側の都合なので
代わりに次の引越しにかかる費用を支払うから言う事聞けって事ですが

一見、おいしい話ですよね。

でも、かといって、
はい分かりました、じゃ、次を探します。
ってすぐに、気持ちが前向きになる訳もなく。
怒りで溢れそうでした。


古い建物での暮らしをしていたのは
この空間が好きで、賃貸だろうが自分の家と思えたくらいに住み心地が良くて
古い物件にしかない価値や魅力があったからです。



わたしのような小さな存在など、虫ケラみたいにどうでもいいんでしょう。
住宅土地開発、という前向きな発展を掲げた
資本主義の元には庶民は所詮敵わない。


スポンサーは親



この場所は大学があるんです。
全国各地から来た、
地元ではない一人暮らしの学生さんがいる。



広さを変えずとも元あった戸数の倍にしてエレベーター付きの新築オートロックのマンションにしたら家賃は倍近くなる。
ここに住む大学生といえば大概は親がスポンサー。
遠く離れた自分の娘や息子を心配する気持ちもわかるし、オートロックは安全性が高い。


今ここに住んでいる人が悪いなんて
1ミリも思わないですよ?
大家さんを始め、この変革に関わる
住宅関連会社の全てに
責任と利益があったのだろうから。

古い物は儲けにならないという考え方

商業的にどうのこうのって言う前に
ダサいんですよね。
古い物に対しての軽蔑や一方的に偏った見方、
利益第一の急激な変化とか迎合が。

古いものの価値や良さが分からないのはいい。
それもひとつの価値観ですから。
だけど新築デザイナーズ物件など、同じような造りはいくらでもあるじゃないですか。

だけど築古の団地や経年物件は、壊したらもうない。

無印良品がプロデュースした団地リノベーション


やるとしてももっと古さを残したリノベーションとかにしたらいい。温故知新という考えがありますが、無印良品がUR物件をリノベーションした団地は、水回りは最新で、ワンルームにはしているけど梁や間取りを生かしたいいとこ取りの
まさに温故知新。

素敵だなぁ。

うちはこの間取りと同じ。築年数は写真の方が古い

向きも間取りも一緒なので、日中の日差しの入り方が写真と同じでした。

家は自分の場所だと思えれば賃貸だろうが関係ない


結局、不動産が引越し代まで全額出して住んだ
次の物件は、いくら住んでも自分の家の気がしなくて半年で引き払いました。
コンクリート打ちっぱなしでカッコいいですよね。

住みたくて住むのと仕方なく住むのは違うので
物件的には、築古団地よりもグレードはアップしたんでしょうけど、
何もかもがわたしにはフィットしなかった。


あれ以上の物件は
なかなかないと思って
この際場所は拘らず探すことにしました。
南向きの団地の間取りではないですが、
築浅のコンクリート打ちっぱなしよりはいい。



世の中には
新築デザイナーズが好きな人ばかりではないんです。

日本が守るもの、なくしたら残念な文化が
温故知新の精神だと思う。

お読みくださりありがとうございます


3階から見えた、秋の景色。

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