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ヒマと退屈と妄想

退屈というのは三つの形式に分類され、それぞれが「引き止め」と「空虚放置」という二つの要素を持っているんだって。

でね、一つ目が停滞する時間に引き止められてしまって、焦って期待通りにいかない場合。その場合、退屈をなんらかの気晴らしをすることで相殺していく。ぼーっとしつつタクシーを数えるとかね。

二つ目は、気晴らしと退屈の根源が同じ場合で、退屈であることに不意に気がついてしまう場合。例えば、カラオケとか行ってみんなで楽しいけど、なんとなくあれ?ってときとかね。

三つ目は「なんとなく退屈」な場合で、これは深い退屈なんだって。でね、そうなると外界から遮断されちゃって、自身の精神世界に入り込んで自問自答の繰り返しで退屈を凌ぐ解決策を捻り出すんだって。で、結局三つ目は一つ目と二つ目の原因なの。

そんな話をしながらいつもの朝が過ぎていった。

退屈を回避するためなのか、ワタシは妄想をする。

彼とワタシの、ここではない世界線。

いつでも触れられる距離にいる彼。

いつでも聞くことができる優しくて暖かい彼の声。

絶え間なく視界に入ってくる彼の笑顔。

決して手には入らないから、妄想する。

だから退屈でも、暇でもないよ。

想像や妄想は、今だって自由で奪われることがないんだから。

ただ、ただただアナタに会いたい。触れたい。声が聴きたい。

それだけなんだけど、それがきっと何よりも難しい。

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