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【646/1096】NODA・MAP「兎、波を走る」

野田地図、新作公演「兎、波を走る」である。

今回ほんとに死ぬほどチケット取れなくて、「マジ、だめかも・・・泣」ってなったのだが、神は見捨てなかった!
ありがとう!!演劇の神様。

タイトルの「兎、波を走る」は、ことわざらしい。
こんなことわざ、知らない。まったく知らなかった。
野田さんがつくったんじゃないの?と思ったくらいだ。
(野田さんならそのくらい朝飯前なのでは?と思っても不思議ではない。)

兎波を走る(うさぎなみをはしる)
① (白く流れ飛んで見えるところから) 月影が水面に映っているさまのたとえ。また、船足などのはやいたとえ。
※車屋本謡曲・竹生島(1570頃)「月海上に浮かんでは、兎も波を走るか、面白の浦の気色や」
② (兎は象や馬に比べ、水にはいる度合の少ないところから) 仏教の悟りにおいて浅い段階にとどまっている人のたとえ。声聞(しょうもん)の人。〔俚言集覧(1797頃)〕

日本国語大辞典

辞典に載ってた。

野田さんのあいさつにも書いてあった。

https://www.nodamap.com/usagi/イントロダクションより

新作は、まっさらな状態で観に行くのが好きなので、このイントロダクションの野田さんの挨拶以外は見ない。
ティーザーも我慢して見ないで行った。


劇場前のようす

猛暑日で、37℃越えの東京。
なんとこの兎、当日券が並ばないと買えないやつで、100人以上待ってた。マジか。さすがだ。
当日券もネットで抽選販売とかにすればいいのでは・・・と思うが、やっぱりこれが一番なんだろうか。
いやまあもう、昔はこれしかなかったけどもさ。

野田さんの芝居、ネタバレしたくないなと思うけど、ネタを並べても、きっとそれで想像するのはほとんどの人は無理よなと思う。
へえ、これをああいう風につなげて、こうするのか!というのを「予想どおり」となった人を見たことないし、まあもちろん自分もそうである。
毎回毎回、想定外の世界へ飛んでいく。

「兎、波を走る」は、新潮8月号に戯曲が掲載されている。

不思議の国のアリス、兎、迷子、不条理、チェーホフ、桜の園、ブレヒト、三文オペラ、ピーターパン、母、子、AI、メタバース、仮装通貨、鏡の国のアリス、初音ミク、ChatGPT、カジノ、虚実、もうそうするしかない国、妄想するしかない国、革命、全共闘、11月15日、USA、拉致。

これらを遊園地を舞台に、ぐるんぐるんと混ぜ合わせて、螺旋状にぐんぐんと引っ張り上げていく演出は、やはりもう見事としかいいようがない。

高橋一生と野田秀樹、ものすごいマッチング。
この人、こんなに野田芝居に合うのかーと感心。
松たか子は、20年前に、「この人、バケモノ女優になるね」と友人と話していたのがほんと当たりだった。

野田作品初出演の多部未華子は、初々しく、瑞々しく。

大倉さんが元気になってよかったよー。舞台で観る大倉さんは本当にセクシー。
山崎一さんの半ズボン姿に、笑わずにいられなかった。めっちゃ似合ってた。
大鶴佐助さん、声がいい。
秋山奈津子さんの髪が!あの髪、どうやってんの??
今回は秋山さんの色っぽさよりか、なんというか凛とした感じがすごくよかった。

11月15日と聞いてすぐ思い出せる人、どのくらいいるだろうか。
私は、この事件、高校生の頃に、もし自分だったら・・・とものすごく考えた時期があって、その記憶がまざまざと呼び起こされた。
けれど、月日が経って、だんだんと記憶はうすれてしまう。
忘れてしまうことは、生き延びるために必要なことだけど、
忘れてしまわないほうがいいことも一緒に忘れてしまう。
そのことを、野田さんは突き付けてくる。
前回のフェイクスピアに続いて、今現在進行形の事件というのを扱うのは、かなり挑戦しているんだろうなと思うけれど、虚構と現実を行き来しながら、自分のリアルさ、身体性で表現し続けてくれることに最大限の敬意と感謝を感じた。

では、また。



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