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【146/1096】フィクションとノンフィクション

146日目。今日で2月が終わる。2022年が過ぎるのが早い。あれ?っていう間にもう2ヶ月が終わっていますよ!
そんな速さの中、今日は、確定申告が無事終了!やった。


野田秀樹の作品が、むちゃむちゃに好きだ。
たぶんもう死んだら、野田作品を棺の中に一緒に入れてほしいくらいには好きだ。
演劇は消えてなくなるから、入らないけど。

NODA・MAPの第24回公演「フェイクスピア」の配信があった。

https://www.nodamap.com/site/news/456

野田さんの作品は演劇で観るのが一番いいのであるが、映像で観るとまた違う良さがある。
野田さんは、映像にするのをあまり好んでいなかったみたいだが、劇場に来られない人もいるので、そのために野田作品は、WOWOWで放映されている。
ずっとそのためにWOWOWに入り続けていたのだが、引っ越してきて契約がちょっと面倒な感じになっていて、放置してしまっているため、映像としての野田作品が観られなくなっていた。
が、今回、初めての配信ということで、チケットを買って、映像を観てみた。

フェイクスピア」は、第29回読売演劇大賞で大賞・最優秀賞に選ばれ、主演の高橋一生も最優秀男優賞を取り、野田さんは優秀演出家賞を取った。(野田さんの優秀演出家賞は、『フェイクスピア』『THE BEE』に対して)

実際の舞台は、2回観た。当日券とれたの、奇跡だなあ。ありがたし。

野田さんの脚本も読んで、野田さんが書くときに参考にしたと言う本も買って読んでいる。
(ちなみに野田さんが参考にしたという本はこれ↓)

読売演劇大賞を取ったときの審査評がいい。

フェイクの時代 希望灯す「言葉」…大賞・最優秀作品賞 「フェイクスピア」(NODA・MAP)

言葉は虚構や 嘘うそ を生み出すが、真実もまた言葉でしか迫ることが出来ない。芸の真実は虚構と現実との微妙なはざまにあるという近松門左衛門の虚実皮膜論を引き合いに出すまでもなく、演劇でしか語れない言葉の力を信じ、希望を 灯すことは出来ないか。

作・演出の野田秀樹が30年以上温めてきたテーマが、フェイクニュースが 跋扈(ばっこ)して真実が炎上しかねない現代社会、そして芸術文化の不要不急が叫ばれたコロナ禍の中で実を結ぶ。

題材としたのは、520人の命を奪った日航機の事故。ボイスレコーダーに残された機長らの言葉の迫力を前に、野田が創作物では太刀打ち出来ない無力感を覚えたとしても無理はない。

受賞作では、死者の言葉を伝達するイタコ、演劇の神様・シェイクスピアの名せりふ、サンテグジュペリの「星の王子さま」、神武天皇の道案内をした 八咫烏やたがらす 神話などを頼りに、生と死、現実と現実味を交錯させながら、得意とする言葉遊びや息をのむ群舞、美しい森の情景などで、演劇の言葉を舞台から客席へ届けた。

最優秀男優賞の高橋一生をはじめ、ベテランの橋爪功、白石加代子、若手の前田敦子らとともに作品を練り上げ、信頼するスタッフが手抜かりなく支える。まさに総合力を結集させて言葉の力で現実に一矢報いようとする姿勢には祈りに似た 清々すがすが しさがあった。トップランナーたちの手による 渾身こんしん の舞台は、1次選考会、投票委員の投票とも最高票を得て作品賞に輝き、大賞へと登りつめた。

青森の霊場・恐山を舞台に、mono(高橋一生)という記憶をなくした男が持っていた「コトノハ」の詰まった 匣(はこ)を巡る物語が展開する。野田秀樹はシェイクスピアとフェイクスピア役で出演。美術・堀尾幸男、照明・服部基、衣装・ひびのこづえ。


  ■審査評 杉山弘

実際のノンフィクションとしてリアルな言葉を扱っている芝居だけに、半端ない重量感があるのだが、ずっと言葉を大事にしてきた野田さんだからこその軽やかさ、清涼感があり、観終わった後に一服のすがすがしさがあった。
もちろん、圧倒的なリアルを感じながら。

あんなに圧倒的なリアルを、あの重さで感じながら、あれだけの清々しさと、最後に希望を乗せるあたり、野田秀樹は天才としか表現できない。
ずっとトップランナーで走り続けてきて、どっかになんか今回イマイチだったなあ・・・みたいなのがあってもよさそうなものだが、野田さんに限ってはそれがひとつもない。
(ちなみに野田さん以外の芝居では、ずっと好きで観続けている作家&演出家もいるのだが、「これはイマイチ・・・」と思う作品がひとつはある。私の完全なる主観として。)
しかし、では、裏切られない安心感があるかと言われるとそうではない。
常に裏切られてはいる。
そうきたか!というやつ。

野田さんは
「人が見る夢みたいな芝居を創りたい」
とその昔言っていて、劇団夢の遊眠社をつくった。
その夢みたいな芝居を観て、脳みそがぐっちゃぐちゃにされるのが好きだった。

このフェイクスピアは、脳みそがぐっちゃぐちゃになるかと言われると、そうではなかった。
でも、ガツンと肚に来た。
ドーンと上から落ちてきて、下から突き上げられる。
そんな感じ。

フェイクスピアの劇中の星の王子様とシェイクスピアのセリフにこんなのがある。

星の王子様:
「フェイクの中に生きる君たち、言の葉をもてあそび、人の命をもてあそぶ。
けれども、「生と死」のぎりぎりの水平線を見ている人の口からは、そんな言の葉は、微塵も出てこない。
フェイクの中で生きる君たちと違って。」

シェイクスピア:
「うわ!この世とあの世をシェイクするのは私が創った言の葉。フィクションが揺るがす。だのに何故フィクションが揺れる揺らされる、何故にフィクションがシェイクされるんだ、私の言の葉はフェイクなんかじゃ・・・・!!!」

NODA・MAP「フェイクスピア」より

このあと、30分のリアルな言の葉が、生身の人間が動きながら、展開される。
そのリアルさがすごい。
というか、あれがリアルだ。
リアルをそのまま受け取るときに、ものすごい振動がある。

あれを演じた高橋一生はやっぱりすごい、としか言いようがない。

映像で見ても、やっぱりすごかった。
言の葉が足りない。

フェイクではなく、リアルを生きよ。

では、またね。


配信の特典映像で、出演者のインタビューがあった。
記憶しておきたいので、ここにメモしておく。
ただ、有料チケットの特典なので、ここからは有料にしますです。
(インタビューの書き起こしではありません。わたしの記憶のメモです)

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