見出し画像

村上春樹著「風の歌を聴け」/Blowin’ in the Windが聴こえる

たぶん再読なはずなんですが、
内容を全く覚えていませんでした。
村上春樹のデビュー作だそうです。
160ページ程度の中編。

各章ごとが数字で区切られており、
長さがまちまち。数行で終わってしまう章もあり、
何をもってここで区切るのか?と、少々イラつきながら読み始め、「国境の南」ほどにはなかなか入り込めないまま中盤まで読み進めました。

しかし、次第に村上ワールドが
体にじわじわと染み込んでくる。

この小説が世に出た時の、
読者の驚きを勝手に想像するに、、
おそらくそれは、
何なんだこの小説は⁈
というような驚きだったのではと想像します。
1979年初版だから、もう40年も前の作品なんですね。

一見捉え所のない日常の一コマの連続であるけれど、
その中に「僕」はしっかりと「僕」であって、相手に依存しない強さがある。

春樹さん好きなフォロワーさん曰く、
彼の小説からは
ビートルズの「ノルウェイの森」とボブディランの「風に吹かれて」が想起されると。
私も全く同感だったのだけれど、
何故ボブディランなのか実はわかっていなかった。(今も分かってはいない)

でも、この小説の中盤以降、
「鼠」という男と「僕」が会話をしている場面に差し掛かった時、ふいにあの名曲「風に吹かれて」が脳内で勝手に再生されたのである!
また、これはそのフォロワーさんの記事で読んだからかもしれないけれど、
サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の一場面も一緒に脳内再生され
その事が嬉しかった。
(ちなみに「ライ麦畑」は、喫茶店で斜め読みしただけで、しっかり読んだ事はありません)

✳︎✳︎✳︎

「僕」が付き合った、左手の指が1本ない(怪我により失った)女の子も、
よくバーのカウンターで話をした「鼠」も、
今はもういない。

それでもこうして生きていく。
風に吹かれて生きていくのだと。

解釈は自由だと思うけれど、
リアルでこういった読後感を共有できる人はほとんどいないから、
noteで自分の感じた事を書いて誰かが読んでくれる事は、
この上ない幸せだと感じます。

それではまた。
今日も、ここまで読んで頂き
ありがとうございました❤︎

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,023件