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村上春樹著「国境の南、太陽の西」/嘘のない心象風景

先日、BSプレミアムで、
村上春樹さんの「ノルウェイの森」出版に至った経緯を辿ったドキュメンタリー番組「世界のハルキはこうして生まれた」を観ました。
私は普段、基本的には番組表を見る事はないので、たまたま、です

「ノルウェイの森」は、
「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」に続く初の恋愛小説。
当時出版に関わった大手出版社の担当編集者さんや、ハルキさんの学生時代の同級生、映画版を制作されたトラン・アン・ユン監督 らの詳細なインタビューで構成された番組でした。
「ノルウェイの森」誕生秘話が満載で、
ファン必見の番組だったのではと思われます。再放送かな?

「ノルウェイの森」は2回読んだのですが、もう1度パラパラとページをめくってみたいという欲望が芽生え、本棚を探したところだいぶ前に手放していたようで見つかりませんでした。
そして、文庫では、未読だったこれと、「風の歌を聴け」が出てきたので、
未読のこちらを読んでみた
という訳です。

最近、推理小説などを読むと
なかなか集中できず
没頭して内容に入り込むまでに時間がかかる事が多い私ですが、
この本はすぐに物語に入り込み
夢中になって読む事が出来ました。

ストーリーだけを追ってしまうと、
過去愛した女性への想いが激しく
現実逃避に走る身勝手な男の話、となるかと思いますが(辛口でごめんなさい)
その一見単純なストーリーの中に
これだけの精神世界を描けるというのは
彼がどれだけ豊かな感性をお持ちなのかという事であり、
私はそういう人が嫌いではないなぁ、むしろ好きなのだと
思わずにはいられませんでした。

ただ、実際に夫がそういう人だったら、妻はさぞかし辛いだろうなぁ^^;

✳︎✳︎✳︎

最愛の人、島本さん(どうして彼女だけ苗字呼びなのか大変気になりました!)との、主人公が経営する店での逢瀬の時
店のピアノトリオがよく生演奏していた デュークエリントンの「スタークロストラヴァーズ」を、
youtubeで流しながら読みました。

私は実はジャズも大好きなんですが、
この曲も、物語に出てくる他の曲も知らない曲で、彼の音楽の守備範囲の広さ、選曲の鋭さに感心し、
また、彼が選んだ曲を私も好きだなぁと感じます。

この本を読んで、
昔よく思っていた、
「今目の前で起きている現実は
本当に現実なのだろうか?」
という疑問が久しぶりに沸いてきて
今不思議な感覚で
心だけ揺ら揺ら彷徨っています。

そろそろ現実に戻らなくっちゃ!

それではまた。
今日も、ここまでお読み頂き
ありがとうございました❤︎

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