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撮影は 「お手伝い」

 今から10年以上前、母がそのころ勤めていた会社を定年で退職、結構な金額の旅行券をお餞別でいただいたので、小豆島と倉敷へ、2泊3日の母子旅行をすることになりました。
 私は一眼レフじゃ重いから、とコンデジカメラを新調。
 母は、旅先で使い慣れないものでは撮りにくいからと、その当時もっていた、そして我が家では最後となるフィルムカメラを持っていきました。
ふたり旅なので被写体は自ずとお互いとなるわけですが、その時母が撮ってくれた私が、自分で見ても可愛かったのです。


 客観的に冷静に見て、お世辞にもかわいいとはいえない容姿の自分、今まで一度でもそんなふうに自分のことを思ったことがないのに、自分でかわいいなんて、、、でもなんというかとにかく「かわいい」んですよね。

 そこに写る私は「母から見た、この世にたったひとりのかわいい我が娘」だったのです。
 どうりで。可愛くないわけないですよね。
 三十路をとうに過ぎていたのですが、幼い頃の感じ、無邪気な雰囲気もあって。


 このときの経験から、写真は、被写体と撮影者の関係性や、特に撮影者の「おもい」を写すものなのだと知ることとなりました。
 そして、どんなにいいカメラで、技術を磨いて、素敵なシチュエーションで、奇跡的なお天気に恵まれたとしても、その子の親さんが撮る写真には、きっとかなわない。そのことも教えてもらいました。

 プロカメラマンだからといって、人より撮影させていただく回数が多く経験を積んでいるからといって、決して奢ってはならない。
 いつでも自分を律しています。親さんが撮る写真にはかなわない。

 だからこそ、プロカメラマンである私がしてさしあげられることを、と思っていつも撮影に臨みます。
 家族写真を撮影させていただくと、とりわけママからとても喜んでいただけます。毎日子育てする中で、自分とこども、が一緒に写真に残せる機会って、なかなかないのです。

 どうぞお手伝いさせてくださいね。
 ママが、お子さまと一緒に写っている写真は、大きくなったお子さまにとっても宝物になります。
 そして、毎日色々あるなかで、楽しいことばっかりじゃないなかで、それでもああ自分は幸せなんだ、と、気づいてもらえるきっかけになれたら、といつも願っています。

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