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フォトセッション

 2020年2月から動き出し、一旦中断、6月から再開して始まった、介護施設でのポートレート撮影。

 施設からのご依頼で、入所者、利用者あわせて約230名を、ひとりひとり、撮影していく、という、とてもありがたいお話。

 これまでの概念をことごとく覆されている。それがとてもうれしく、清々しい。

 常々施設長からは、そのひとらしさ、自然な感じ、が写っていてほしい、とお題をいただいている。そこが信条で写真を撮っている私と完全にシンクロ。

 ただ、まだまだ撮影者の肩に力が入っているからねぇ〜、と笑っておっしゃられてしまっている。

 自分の年齢の倍の方を目の前にして、やれることなどなにもないのに。それぞれが全然、本当に全然違う。
 なのに、これまでやってきた方法でなんとか、ベストを尽くそうとすればするほど、型にはめることになってしまう。

 それを気付かせてもらえる、撮影が先日あった。

 まるで、よくあるいわゆるTVで観た、有名カメラマンが有名芸能人を撮影してるときみたいな。

 フォトセッションの瞬間。

 被写体が持っているものに反応して、どんどん撮り方を変えて、添わせてもらっていく。セッション。こちらがノッてくるに従って、被写体から流れてくるものも変化していく。

 撮影時間自体は、5分もかかってない。
 いつもの撮影よりずっと短かったはず。

 だけど、最後のシャッターを切って「OK!撮れた!」と叫ぶと、被写体である利用者さんからも、弾けるような笑顔がこぼれ、思わず駆け寄って握手を交わしていた。ありがとう。ありがとう。何度も言い合い、名残惜しく別れた。

 あれはセッションだった。
 ちょいワルで、こちらを試すような、憎めない人なつこい笑顔と、この人らしい、体の動きから来るラインが、そこに写っていた。

 よく写らない人もいる。
 心地よく型にはめるほうが、被写体にとっても、撮影者にとっても良い場合も多い。

 だけど、これからも、そのひとらしさ、を、限界まで探って、一生一度の写真を残したい。そこを諦めずやっていく。

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