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ヨルダン レンタカー旅(15):月の砂漠、砂漠に登る朝陽

死海やペトラなどを巡った前回まではこちらをぜひ。

ワディ・ラムの砂漠キャンプでは、夕ご飯のあとは、各々テントに戻るスタイル。
私と同じくヴァイオリン弾きの旅友ちゃん(こちらは音大卒なので私より数段上手)、ベドウィンのヴァイオリンに興味津々で見せてもらったりしていた。

メインテントを出ると、焚火の前でキャンプの主みたいなおじいちゃんが相変わらずくつろいでいる。
「焚火の横にあるヤカンに紅茶が入っているから、持ってきて隣のイスで飲みなさいよ」
ということで、おじいちゃんのお隣にお邪魔することに。

数日前が中秋の名月だったこともあって、この日のお月さまもほぼまん丸。明かりのない砂漠だけど、月が出ているからテント間などライトも持たなくても移動することができる。
月ってこんなに明るいんだ、と実感した。

そしておじいちゃんが空を指さして教えてくれる。

「あの星は●●座、こっちの星は××座。見える?」
「……見えません」
「こっちの星はもっと明るいから見えるでしょ?」
「…………見えません」

昨日に引き続き、ベドウィンにドン引きされる。
砂漠の民よ、デスクワーカーの視力の悪さを甘く見ないでおくれ。
でも言っておくけど、私、旅の時はけっこう度強めのコンタクト入れてんのよ!
両目とも視力1.2くらいはあるのよ!
でもマジで見えないからね!!

しびれを切らしたおじいちゃん、スマホを取り出し、星座アプリをかざしながら教えてくれた。起動して空にかざした方向の星座が画面に映し出されるアプリ。
おじいちゃんはリアルスターを見ながら、私はスマホ画面を見ながらのベドウィン星座講座。ってゆーか、そのアプリすごいね!おじいちゃん!!

夜の写真がないので、唐突にキャンプにいたお猫様。ヨルダンも猫天国!

しばらくおじいちゃんと談笑し、寒くなってきたこともあり、テントに戻って就寝準備をすることに。
砂漠の夜は冷える、というのも本当で、厚着+ウィンドブレーカーでもちょっと肌寒いくらいでした。昼間はTシャツでも全然問題なかったのに。
やっぱり太陽ってすごいんだなぁ、と、「北風と太陽」の話をちょっとだけ思い出しつつありがたさを実感する。

まだまだ夜も早く大人が寝る時間じゃないけど、明日は日の出を見なくちゃいけないし、夜することもないので寝ることに。
太陽と共に生活するシンプルな生活。
でもきっとこれが何千年も続いてきた、あるべき姿なんだろうな、と感じるし、そういった生活を続けることを羨ましく思った。

ちなみに夜、「トイレ行きたい」とテントを出たのですが(テントの近くに簡易トイレあります)、テントの外に出たとたん、光も音のない世界。

月も傾きはじめていたので、メインテント前の焚火がうすぼんやりと白っぽく浮かびあがっている程度。
みんな寝ている時間だったので、聞こえるのは自分で砂を踏む音だけだけど、サラサラした細かい砂なので、ほとんど音がない。
立ち止まると本当に何も聞こえない。
でも、空を見上げるとたくさんの小さな星が瞬いていて、音が聞こえないのが不思議なくらいの賑やかな景色。
そして傾きかけながらも光を放つ満月。
月明りが届かない場所は、距離感もつかめないくらい一面漆黒。
映画『マトリックス』で白一色の中で、ネオとトリニティが話しているシーンがあったけど、自分があそこに入ったらこんな感覚なのかな。

こんな場所にひとりで取り残されたら、私、気が狂うな、とちょっと怖くなった。

そしてトイレが暗すぎて、携帯のライトだけじゃどうにもなりませんでした。なんとか頑張ったけど。
ヘッドライト持参の欧米人チームがいて、旅友ちゃんと「なんかガチだね」と話していたけど、ヘッドライト必須だった……。
ちょっと本気すぎじゃない?とか一瞬でも思ってごめんなさい。

翌朝は予定通り日の出前に起床。
すでに少しずつ明るくなり始めていて、昨日の夜の闇が噓のよう。
太陽が顔を出す前にキャンプ近くの岩に登って、旅友ちゃんと日の出待ち。

明るくして寒さも和らげてくれる!日の出ってうれしい。
何も加工していないのに、嘘みたいな色の景色!

黄色く輝く太陽が登り、段々と空の青が濃くなって遠くの岩の形がはっきり見えてくる、とっても贅沢な時間。
刻々と目の前の景色の色が変わっていく。
陽が登ったばかりなので、朝陽とともに白くなった月も同じ空の中に見えた。

左に白い月、右に日の出。携帯のパノラマ撮影機能、最強すぎる。

こんな景色を毎日見られるなんて、ベドウィンはなんて幸せな人たちなんだろう。
心の底から羨ましい。

旅友ちゃん、またしても写真とってくれてありがとう。


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