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旅のあれこれ:今でも愛用!予定外のお買い物@フィレンツェ

いろいろと旅するなかで、お土産やら寒さに耐えきれずに買った防寒着やらいろいろとありますが、長く愛用できる逸品に巡り合うこともあります。
旅先で購入したもので、いちばん長い付き合いになっているのは、イタリア・フィレンツェで買った、革のジャケット。

旅友ちゃんと初めてのふたり旅で行ったイタリア。
フィレンツェは革製品が有名で安い、という「地球の歩き方」さんからの情報を目にし、「革のコートが欲しいな」という旅友ちゃんと一緒に、気になったお店に入ったはず。革製品専門店が集まってるよ、という、ミケランジェロ広場の川を挟んだ向かいくらいのエリアだったかと思います。
川の近くだったのはなんとなく覚えてる。

お邪魔したのは、それなりの店舗面積がある、広めのお店。お店の奥で職人さんが作業している、とお店のおじさんが言っていたような……。
お買い物目当ての旅友ちゃんがお店のおじさんと「あれじゃない、これじゃない」と試着しているのを横目に、私はひとり店内をプラプラ。
たまに別のおじさんに「どんなの探してるの?」と聞かれつつも、「見てるだけで、ショッピング中の友達を待ってるの」と華麗にスルー。

そして無事に旅友ちゃんのお買い物も終了しお店を出ようとしたら、おじさんが「お前は買わなくていいのか?」と私をロックオン。

「いらないよ。革のコートはもう持ってるし」
「どんなコート?」
「黒のロングコート」
「何革?」
「牛さん」
「黒よりブラウンのショートジャケットのほうが似合う」
「え、そ、そう……?」
「絶対にブラウン。着るだけでもいいからこれを着てみなさい」

と、試着させられた、ダークブラウンの詰襟ジャケット。すごく軽くて柔らかくて、私が持っている牛革のコートとは全然違う。

「やっぱりこれが似合う。ラム革で柔らかいし、着心地もいいでしょ」
「確かにぴったりだし、すごくいい。でも買わないよ」
「100ユーロでいいから(確か元値は150ユーロくらい)」
「いやだから……」
「ほら、あのスペイン人を見なさい。120ユーロでも買うんだよ?」

と、レジでお会計中のおばさま達を指さすおじさん。確かに本当に品質のいいものだろうし、私も値切るために「いらない」と言っているわけじゃないんだよ、おじさん……。
なんとも言えない気持ちになりつつ、しばらくおじさんおすすめジャケットの良さアピールタイム。

「着続けると今よりもっともっと柔らかくなる。一生着れる」
「シンプルなデザインだからトレンドも選ばない」
「ダークブラウンだから黒い瞳が映える」

日本では聞かないようなセールストークを交えながら(こういうところで人種が豊富な大陸にいるってことを強烈に感じた)、「いや、でも……」を繰り返す私。

たぶん今なら100ユーロでも即決で買ってたと思うけど、当時はまだお金もなくて、ポンと払う勇気がなかったんですよね。

「欲しいけど、マジでお金がないんだよ」
「90ユーロでもいい」
「だって革のコートはもう持ってるし……」
「こんなに似合うんだから買わないともったいない」
「でも……んー……」
「80ユーロでもいいから」
「……わかった!買うよ!!」

というわけで、値引き目的での攻防ではなかったのですが、ほぼ半額くらいまで下げてくれた、おじさんおすすめのラム革ジャケット。
購入から20年くらい経った今でもバリバリ愛用しています。

だいぶ汚れてるけど、「VERA PELLE」のタグ。はじめてちゃんと見たわ。

お店の名前とか分からないかな?と改めてタグを確認してみたら、「VERA PELLE」の文字。
何十年も気にしたことなかったけど、調べてみたら「イタリア植物なめし本革組合による品質保証」らしい。
1カ月以上をかけて、化学物質を使わずに革をなめす、古典的であり、耐久性も維持できる伝統的な職人技。そして、現代ではフィレンツェを含み、トスカーナ地方でのみしか使われていないらしい。

え!!!!!!!
ホントにめっっっっちゃいいヤツじゃん!!!!(マジで今更)

お手入れなんて本当に何もしてないけど、縫製もしっかりしていて、裏地を含めほつれなども一切なし。
そして本当におじさんの言った通り、ウールみたいに柔らかく育ってくれました(腰に巻けるくらいに柔らかい)。袖口は少し擦り切れて色が褪せた部分もあるけど、それも味。

新品もいいけど、革のジャケットは着こんだほうがカッコいいと思う。

あのおじさんが言ったこと、ひとつも間違ってなかった!!!!!
強烈にすすめてくれてマジでありがとう!!!
私、あの時にこのジャケット買って本当によかったよ!!!!!
これからも大切にします!!!!

また行って、今度は違う革グッズを買いたいと思うお店です。
でも詳細なお店の場所がわからん……。
店内の様子は覚えているので、行ったら分かる!と、信じたい!!


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